【第38回東京国際映画祭】『ヴィトリヴァル』プティ・カンカンからブリュノ・デュモンを抜いたらなにもないじゃないか!?

ヴィトリヴァル(2025)
Vitrival

監督:ノエル・バスタン、バティスト・ボガルト
出演:ピエール・バスタン、バンジャマン・ランビヨット

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第38回東京国際映画祭で『ヴィトリヴァル』を観てきた。

『ヴィトリヴァル』あらすじ

ベルギーの田舎の小さな町。いとこ同士の警察官バンジャマンとピエールは、ほとんど何も起きないこの町で、些細な仕事をこなす毎日を過ごしている。そんな町に不穏な出来事が起きはじめる。公共スペースに男性器を描いた卑猥なグラフィティが次々と現れ、町の人々の自殺が相次いで起こる。ユーモラスな雰囲気のなか、地方の共同体が抱える問題が浮かび上がる。ロッテルダム国際映画祭で上映された。

※第38回東京国際映画祭サイトより引用

プティ・カンカンからブリュノ・デュモンを抜いたらなにもないじゃないか!?

本作は、牧歌的な田舎町で陰茎の落書きと不審な自殺が相次ぎ、警察が原因を調査するといったないよう。しかし、開始10分で「これは解決しないな」と思わせられる。要は事件の真相をマクガフィンとして物語を推進するタイプの作品だからだ。

厭な事件はあれども住民たちは呑気に暮らしている。その様をダークコメディとして描いている。確かに釘打ちバトルシーンで釘が全然刺さらないギャグといった面白い部分はあるのだが、全く事件と結びついていなければ映画的運動の面白さも欠如している。

そう、要はブリュノ・デュモン『プティ・カンカン』からブリュノ・デュモンを抜いた作品に仕上がっており、それは果たして映画なのかといった疑問が残る作品だったのである。