マッド・ビルズ・トゥ・ペイ(2025)
Mad Bills to Pay (or Destiny, dile que no soy malo)
監督:ジョエル・アルフォンソ・ヴァルガス
出演:フアン・コヤド、デスティニー・チェコ、ヨハンナ・フロレンティーノetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第38回東京国際映画祭にて『メアーズ・ネスト』と『愛殺』の繋ぎで『マッド・ビルズ・トゥ・ペイ』を観た。繋ぎ枠なため、あまり期待はしていなかったのだが、これがなかなか良くて映画祭ならではの出会いであった。
『マッド・ビルズ・トゥ・ペイ』あらすじ
ニューヨーク、ブロンクスに住む19歳のドミニカ系アメリカ人青年リコは、違法混合した手作りカクテルをオーチャードビーチで販売することで生計を立てている。ある日、16歳のガールフレンド、デスティニーが妊娠していることが判明する。デスティニーは狭いアパートでリコの家族と暮らすことになる。これまで無邪気に生きてきたリコは、父親としての責任を求められ、軽視していた家族関係とも向き合うことになる…。ニューヨークにおけるドミニカ系アメリカ人コミュニティの日常のなか、ひとりの青年の成長を描いた作品。短期間で撮られ、台詞や演技には即興的な要素が多く含まれているという。サンダンス映画祭、ベルリン映画祭で大きな話題を呼んだ作品。
※第38回東京国際映画祭より引用
カービィ・パンチなニュース、ピカチュウ・ハイな青年のアイス・エイジ
主人公の青年はビーチでカービィ・パンチ、ピカチュウ・レモンヘッドと明らかに高い度数のアルコールで薄味さを誤魔化したカクテルを売り捌き日銭を得ている。
そんな中、16歳の少女を妊娠させてしまう。母親に事情を話し、彼女を家に招き、父になるため頑張る彼だが、元々がクズなため前途多難である。彼女を前にナンパをし、無賃乗車しようとし留置所へとぶち込まれる。気を抜けばハッパを求め夜道を彷徨う。だが、バイト先で拾った財布はカウンターへ届けたり徳は積もうとしている。
ショーン・ベイカー的タッチでクズなりの努力をユーモラスに描いた作品。確かに、少女にしては肉体的負担がない分あまりに能天気で身勝手なのは自明ではあるのだが、クズなりの歩みを妙な同情に傾けることなくフラットに描き切ったリアリズムは着目すべきだろう。
P.S.カクテルの名前にカービィやらピカチュウやら付け、娘の名前の候補にゼルダを入れながらゲームをやったり配信観ている場面がないところ面白かったな。キラキラネームレベル上げるというか思想の出鱈目さが強化され、突然反ワクになる場面に説得力が増す。













