『ストレンジ・ダーリン』追跡のアクションに停止の運動

ストレンジ・ダーリン(2023)
Strange Darling

監督:J.T・モルナー
出演:ウィラ・フィッツジェラルド、カイル・ガルナー、マディセン・ベイティetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

知り合いからある種のリクエストで本作の感想を訊かれた。予告を観た感じピンと来なかったので劇場鑑賞はスルーしていたのだが、U-NEXTに来ていたので観た。うん、案の定であった。ただ、一か所だけ思わぬ収穫のあった作品ではあった。

『ストレンジ・ダーリン』あらすじ

シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章構成で描いたスリラー映画。

シリアルキラーによる連続殺人事件が世間を震撼させるなか、モーテルの前に1台の車が停まる。そこには、バーで知り合ったばかりの1組の男女が乗っていた。やがてその女“レディ”は男“デーモン”に命を狙われ、銃を持った彼から必死で逃げ惑うが……。

ドラマ「ジャック・リーチャー 正義のアウトロー」「パルス」のウィラ・フィッツジェラルドが“レディ”、「Smile スマイル」のカイル・ガルナーが“デーモン”をそれぞれ演じ、「クローブヒッチ・キラー」のマディセン・ベイティ、ドラマ「ブレイキング・バッド」のスティーブン・マイケル・ケサダ、「シー・デビル」のエド・ベグリー・Jr.、「ブラック・スワン」のバーバラ・ハーシーが共演。監督・脚本は本作で注目を集め、スティーブン・キング原作の映画「死のロングウォーク」の脚本も手がけるJ・T・モルナー。「コールド マウンテン」「アバター」などへの出演で知られる俳優のジョバンニ・リビシが、プロデューサーと撮影監督を務めている。

映画.comより引用

追跡のアクションに停止の運動

第三章から物語は始まり、いきなりカーチェイスへともつれ込む。映画は章を正規ルートでは辿らない構成。そして、ある種のミステリー。この時点でメタ的に信頼できない語り手ものであることは察しがつく。そして想定通りの内容となっており、冗長な戦闘が延々と続き辟易とする。中学生の映画に嵌りたての頃だったら楽しめたのだろうけれども、もうこういったものは一瞬で構造が読めてしまい楽しめなくなってしまった自分が悪いとは思う。

一方で、三章のカーチェイスだけは興味深く観た。『ワン・バトル・アフター・アナザー』同様にカーチェイス=走り続けるといった定石に対して「停止」のアクションが形勢に変化をもたらす一撃となっていたからだ。セリフはほとんどなく、追う/追われるのアクションの中で心理戦が繰り広げられており、これは映画的快感があって楽しかった。