『Harvest』儀式と生贄、そして群集心理

Harvest(2024)

監督:アティナ・ラシェル・ツァンガリ
出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ハリー・メリング、フランク・ディレイン、ロージー・マキューアンetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『アッテンバーグ』のアティナ・ラシェル・ツァンガリ新作『Harvest』を観た。ギリシャの奇妙な波監督だけあって今回も演舞が重要な役割を果たす作品となっていた。

『Harvest』あらすじ

Over seven hallucinatory days, a village with no name, in an undefined time and place, disappears.
訳:幻覚的な7日間にわたって、名前のない村が、定義されていない時間と場所で消えます。

IMDbより引用

儀式と生贄、そして群集心理

本作は群による儀式がもたらす効果を検討している。ある日、納屋が燃えるのだが責任を取りたくない村人たちはよそ者を磔にすることでこの問題を解消しようとする。排外主義と村人の利害が一致し、儀式的に外から来た者を磔にするのである。その儀式はある意味祝祭のように見える。宗教や政治がある信念でもって群衆をひとつに向ける活動として機能しているが、それによる恐怖を独特な色彩の中で行われる儀式と磔台を交差させて表現しているところは興味深い。また歴史劇でありながらアクチュアルな問題へと迫っている。また、このような群集心理を表現するために個としての側面を抑え、群としてどのような動きをするのかに着目している点はテオ・アンゲロプロス『アレクサンダー大王』に通じるものがあり興味深く観た。

created by Rinker
Strand Releasing