初恋・地獄篇(1968)
監督:羽仁進
出演:高橋章夫、石井くに子、満井幸治、福田知子、宮戸美佐子
評価:30点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
シネマヴェーラにて開催の羽仁進特集で『初恋・地獄篇』を観た。今だったらアニメでやる内容なんだろうなと思いながら観た。
『初恋・地獄篇』あらすじ
シュンが七歳の時、父が死に、母は再婚した。教護院に入ったシュンは間もなく、彫金師の家にひき取られ、仕事の手伝いをしながら成長した。孤独なシュンはある日、ひとりの少女ナナミと知り合った。ナナミは、集団就職で上京した後、いまヌードモデルをやっている。二人は一軒の安ホテルで抱きあった。だが初めての経験でシュンは当惑するばかりであった。ナナミはそんなシュンに優しかったが、二人は不成功のままホテルを出た。ある日、シュンは公園で幼ない女の子に会った。シュンはその少女の柔かい皮膚の感覚に、幼ない日の郷愁を誘われたが、物蔭で二人を見ていた男に変態扱いされてしまった。精神病院へ連れていかれたシュンは、医師の暗示によって過去を想い出したが、それは嫌な記憶ばかりだった。シュンはナナミのいるヌードスタジオを訪ねた。そしてナナミにはもう一つの生活があるのを知った。女と女が互いに肢体をからませ、闘い合う女闘美がそれだった。窓から覗き見たシュンは驚いたが、見張りにつまみ出されてしまった。あくる日、シュンはナナミが中年男と連れ立っているのを見て、男を殴ろうとしたが、ナナミヘの歪んだ愛について語る男をシュンは殴れなかった。海辺での撮影会の日、ナナミはその男と、妻と小さな子供たちのピクニック姿を見て、顔が青ざめていくのを覚えた。一方、そのころシュンは自室で孤独な夢を結び、妄想を描いていた。ある高校の文化祭の日、ナナミは、友人の高校生代数君、シュンとともに見学に行った。代数君は八ミリ映画「初恋の記録」を映写した。一度も口を聞いたことのない少女への一方的な恋を綴ったその映画を、シュンとナナミはある感動とともに受けとめた。それは一人の少年が自らの存在を探っていく記録だったのだから。二人は、翌日、ホテルで会う約束をして別れた。その日、シュンはナナミが待っているホテルへ向う途中、やくざに追われて逃げた。そして自動車にはねとばされてしまったのだった。
悶々自問自答
仄暗い空間を歩きながらボソボソと男女は離す。やがて行為の段階となるのだが、童貞仕草によって微妙な時間が生まれる。主人公シュンは教護院を出て、彫金師に引き取られ育った。コンプレックスにまみれた彼はヌードモデルのナナミに惹かれて行くのだ。本作は上野を中心に、他の若者のキラキラした感じの横で拗らせていく男女を散文的な演出で表現しており、途中で挿入される幻影的な演出は今の日本だとアニメでやるようなものだろうなと思った。60年代の上野公園の新鮮さ、ヨドバシカメラのない空間に面白さを抱いたものの、話自体が全くピンと来ず退屈であった。