『The Message』わたし、動物と話せるよ

The Message(2024)

監督:イバン・ファンド
出演:マルセロ・スビオット、マラ・べステリ、Anika Bootz etc

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第75回ベルリン国際映画祭はどうも不作らしく、これといって傑作に巡り合うことができない。今注目のアルゼンチン映画枠からの出品『The Message』を観たのだが、ヒューマントラストシネマやシネスイッチ銀座あたりで上映されそうなロードムービーではあるものの、どこかぼんやりとした映画であった。

『The Message』あらすじ

In the Argentinian countryside, a child’s special gift gives her opportunistic guardians the idea of offering consultations with an animal medium in order to earn a living.
訳:アルゼンチンの田舎で、ある子供の特別な才能をきっかけに、日和見主義の保護者が動物霊媒師とのカウンセリングを提供して生計を立てようと考える。

IMDbより引用

わたし、動物と話せるよ

本作は動物と交信できる少女と彼女をビジネスとして利用する祖父母によるロードムービー。直近の作品では移動式映画館を営む娘と父親の関係を描いたロシア映画『グレース』に近い内容であり、ロードムービー特有の「どこへでもいける」要素が親子関係になると子は「どこにもいけない」存在になりえる様を強調している。確かに、裸の少女を放置するネグレクト的な場面があり、牧歌的な質感の中でそれが飛び出す怖さはあったものの、どこか薄ぼんやりとした映画となっている。折角、抑圧された子どもを超能力×ロードムービーといったフィクションならではのアプローチで掬い上げようとしているのに勿体ない映画だなと思った。