絶望の日(1992)
The Day of Despair
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:テレーザ・マドルーガ、マリオ・バローゾ、ルイス・ミゲル・シントラ、ディオゴ・ドリアetc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
Bunkamuraル・シネマにて開催中のマノエル・ド・オリヴェイラ特集で『絶望の日』を観た。オリヴェイラの作品を分析する上で重要な作品ではあったが、面白いかと訊かれたら「つまらない」に該当する作品であった。
『絶望の日』あらすじ
「アブラハム渓谷」「クレーヴの奥方」などで知られるポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラが、19世紀ポルトガル文学を代表する小説家カミーロ・カステロ・ブランコの最後の日々を映画化したドラマ。ブランコの手紙や調書、新聞記事などを基にオリベイラ監督が脚本を手がけ、ブランコの生家を舞台に、葛藤と苦悩の末に拳銃自殺を遂げるまでの姿を描きだす。
後に映画監督として活躍し、本作では撮影も手がけるマリオ・バローゾがブランコ役を務め、「熱波」のテレーザ・マドルーガ、オリベイラ監督作の常連俳優ルイス・ミゲル・シントラが共演。音楽にはワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」「バルジファル」を使用した。
日本では、2025年4月開催の特集上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」にて劇場初公開。
オリヴェイラ映画の多層性
本作は、19世紀ポルトガルを代表とする小説家カミーロ・カステロ・ブランコが自殺するまでのいきさつを新聞などのテクストを基にカミーロ博物館で再現するといった内容。ストローブ=ユイレ『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記 』に近い状況再現映画である。
オリヴェイラは映画におけるイメージとは異なる媒体を介して、対象の歴史性を立体的に描く傾向がある。主に肖像画が使われるのだが、本作は新聞や手紙などといったテクストが主体であり、ナレーションだけでなく、実物を提示することによって歴史とは断片をもとにナラティブを形成することだと定義しているように思える。
ただ、いかんせん催眠的過ぎてあまり面白い映画ではなかった。
※映画.comより画像引用