シナイ半島監視団(1978)
Sinai Field Mission
監督:フレデリック・ワイズマン
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
フレデリック・ワイズマン有給を取得してアテネ・フランセにて『基礎訓練』『シナイ半島監視団』『ミサイル』を観た。『シナイ半島監視団』はワイズマン映画の中ではトップクラスに撮影が素晴らしい一方で、独特な緊迫感に包まれる作品であった。
エジプトとイスラエルの間のシナイ緩衝地帯で、監視の任務を遂行する米軍の小隊。彼らは時にこの地を西部劇の「西部」になぞらえて無為をやり過ごす。「アメリカの外のアメリカ」として「アメリカらしさ」が奇妙に凝縮されたこの場所を、ワイズマンは広大な砂漠のごく小さな一点として映像に収めている。
エジプトとイスラエルの間のシナイ緩衝地帯で、監視の任務を遂行する米軍の小隊。彼らは時にこの地を西部劇の「西部」になぞらえて無為をやり過ごす。「アメリカの外のアメリカ」として「アメリカらしさ」が奇妙に凝縮されたこの場所を、ワイズマンは広大な砂漠のごく小さな一点として映像に収めている。
※アテネ・フランセより引用
緊迫と緩慢
荒野をジープが駆ける。道中にはひっくり返った錆びついたジープが横たわっており、厳しい環境であると共にスペクタクル的興奮を引き立てる危うげなショットが提示される。
男がジープから降りる。穴を掘る。何かを埋める。地雷だろうか。特殊な器具の正体はセンサーだとその後で判明する。今回のテーマは、エジプトとイスラエルの間のシナイ緩衝地帯でイスラエルの動向を監視するアメリカ軍である。
想像とは裏腹に牧歌的な日常が展開される。仕事が終われば、フェンスに守られた空間でアーチェリーにバスケと暇を潰す。酒が絡めば、西部劇さながらブーツに入ったビールをがぶ飲みするどんちゃん騒ぎに明け暮れる。
しかし、一歩踏み外せば緊迫的状況となる。イスラエル側が「てめぇらと国連の問題だろ」と一歩たりとも引かない平行線の論戦に発展するのである。この緊迫と緩慢が織りなす奇妙な空間はどこか異様に思えるものがあった。