『精神(こころ)の声』ソクーロフ、戦争の虚無

精神(こころ)の声(1995)
Spiritual Voices

監督:アレクサンドル・ソクーロフ

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、ソクーロフの6時間超え映画『精神(こころ)の声』を入手して観た。思ったより面白くもあり退屈な作品でもあった。

旧ソ連のタジキスタン共和国で続く内戦に派兵されたロシア軍の若き兵士たちと生活を分かち合い、その魂の真実に迫る精神的・霊的なドキュメンタリーの試み。「静かなる一頁」「ロシアン・エレジー」など映像による独自の精神世界を切り開いてきた現代ロシア映画の鬼才アレクサンドル・ソクーロフがベータカム・ビデオを駆使して完成させた。映像による瞑想ともいうべき長編映像詩の金字塔。撮影は最初「セカンド・サークル」「ストーン」「ロシアン・エレジー」「静かなる一頁」などソクーロフ作品のほとんどを手掛けてきたアレクサンドル・ブロフが担当したが、途中から若手のアレクセイ・フォードロフに交代した。音楽はモーツァルトのピアノ協奏曲17番、19番、23番とベートーヴェンの交響曲第7番、それにフランス現代音楽の代表的巨匠で92年逝去したオリヴィエ・メシアンの作品から、そして第二部以降は日本の現代音楽最大の巨人で、映画音楽にも大きな足跡を残して先頃急逝した巨匠武満徹の『波の盆』が主要モチーフとして使われている。撮影の対象となったのはタジク=ロシア国境地域に駐屯するモスクワ国境警備隊第11駐屯地の兵士たちで、そのほとんどが撮影後戦死しているという。過酷な戦闘で遺品・遺骨もほとんどなく、唯一の形見として未編集の撮影テープが遺族に贈られた。ナレーションはソクーロフ本人。本作はまず95年ロカルノ映画祭に出品され、同年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では特別招待作品としてクロージングに上映されて大きな衝撃を与えた。その後96年ベルリン国際映画祭、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭でも招待上映、また95年10月にはロシアで全編テレビ放映されている。

映画.comより引用

ソクーロフ、戦争の虚無

タジキスタンに派兵されたロシア軍を追ったドキュメンタリーであるのだが、ソクーロフのことなので、タイトル通り精神の空間、時の間が延々と続く内容となっている。実は虚無レベル100の第一部が一番面白い。雪原を定点でカメラが捉え続ける中、モーツァルトの音楽と、彼にまつわる語りがボソボソと語られていく。全く代わり映えのしない映像が続くのだが、じっくり観ると、遠くで狼煙があがる。そしてオーバーラップして寝ている人の姿が映し出される。現在挑戦中の『Logistics』フルマラソンにおけるPART6で3時間すぎに闇が払拭されていく感動に近いものがそこにあった。

戦争パートでは、全貌が見えず狭い視野の中虚無に向かって銃を放ち、彷徨う兵士たちの姿が映し出される。これもまた味わい深いものがあった。