『ジャングルのけもの』「あれ」を待ちながら

ジャングルのけもの(2022)
La bete dans la jungle

監督:パトリック・チハ
出演:アナイス・ドゥムースティエ、トム・メルシエール、ベアトリス・ダル、マーティン・ヴィッシャー、マーラ・タキンetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

観逃していた『ジャングルのけもの』がプライム・ビデオにて配信されていたので観た。じつはベルトラン・ボネロ『けものがいる』と同じヘンリー・ジェームズの「密林の獣」の映画化となっている。

『ジャングルのけもの』あらすじ

25年間、謎の“出来事”を待ち受けて巨大なナイトクラブに出入りする一組の男女。1979年から2004年にかけて、ディスコからテクノクラブへと変遷するにつれ変化する愛と執着のストーリー。最終的にその “出来事”は形になるが、その姿は想像をはるかに超えた悲劇的なものであった。

※Amazonより引用

「あれ」を待ちながら

本作を踏まえると『けものがいる』における「あれ」の存在は非常にわかりやすかったことがうかがえる。「あれ」を「最悪なこと」として定義されており、最悪なことが起きるかもしれないといった予兆が、過去の災害や事件によってリピートされていくが、現実において終末はなかなか起きず間延びした時間が流れる。その中で内なる他者と対話するわけだが、実体の他者と差分が生じていることに気づき幻滅する。一方、本作はドープなクラブミュージックの渦中にいる男女が「あれ」を待ち続けるのだが、その正体が掴みづらいものとなっている。クラブで運命を待ち続けているのだが、受動的故に「あれ」がなかなか訪れない様を示唆しているのだろうか。そういった分かりにくさを映像で面白く包み込んだ作品だと観た。