ソラリス(2002)
Solaris
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、ジェレミー・デイヴィス、ヴィオラ・デイヴィス、ウルリッヒ・トゥクールetc
評価:10点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
森泉岳土がスタニスワフ・レム「ソラリスの陽のもとに」をコミカライズした。週末は、漫画とタルコフスキー版を観て比較動画を作ったわけだが、念のためソダーバーグ版も再観した。中学時代に観た時、クリフ・マルティネスの心地よい音楽とソラリスの風景の美しさにまあまあ満足したわけだが、今観るとあまりに酷すぎる映画でげんなりした。
『ソラリス』あらすじ
惑星ソラリスの探索宇宙船に乗る友人から助けを求める連絡を受け、船を訪れた精神科医ケルビン。彼はそこでかつて自殺した妻そっくりの存在に出会う。ケルビンはその存在と新たな関係を築こうとするのだが。原作はタルコフスキー監督の「惑星ソラリス」と同じ、ロシアのSF作家スタニスラフ・レムの同名小説。もとはジェームズ・キャメロンが映画化権を持っていたが「ソダーバーグなら」と監督を譲り、自ら製作に回った。
マンスプミソジニーおじさんの憂鬱
タルコフスキー版は一般的に、原作にあったソラリス地上付近で形成されるオブジェクト描写が排除され、「人智の及ばぬ存在を前といかに向き合うのか」といったコンセプトがなくなってしまっている。つまり、妻や父との関係性に収斂しているのだ。
リメイクするなら、CGでやるならそこに力を入れるべきだが、ソダーバーグもまたヒト対ヒトの関係性を掘り下げていく。ここで掘り下げられるのはマンスプミソジニーおじさんが、それによって破滅した過去との対峙なわけで、この有害な男性性については興味深いものがあれども、それをソラリスの世界でやってしまっているのはいただけない。
タルコフスキー版にあった、不気味な気配も、ハリウッドの豪快さによって雑な描かれ方がされており、実に酷いリメイクであった。