教授と美女(1941)
BALL OF FIRE
監督:ハワード・ホークス
出演:ゲイリー・クーパー、バーバラ・スタンウィック、オスカー・ホモルカ、ダナ・アンドリュースetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、芥川賞を受賞した「ゲーテはすべてを言った」を読んだ。23歳とは思えぬ重厚感あふれる文学・哲学の引用を通じた「名言論」に圧倒されたわけだが、実は映画からもいくつか引用されている。驚かされたのはハワード・ホークス『教授と美女』からも引用しているところにあった。ハワード・ホークスのスクリューボール・コメディなら『ヒズ・ガール・フライデー』や『赤ちゃん教育』あたりを引用しそうなところを、ちょっとマニアックなこちらから引用する。相当な映画好きなのではと思った。実際に観てみると、その引用は妥当だとわかる。
『教授と美女』あらすじ
ニューヨークのトッテン財団では、8人の学者たちによる百科事典の編纂が大詰めを迎えていたが、文法学者のポッツ教授がある俗語を耳にしたことから、これまでの努力が世間から隔絶していたことに気づき、街へ調査に出かける。そこで出会ったナイトクラブの歌姫、オシェイに協力を求めるが……。公開当時、アメリカでヒットしたものの、時代の影響で輸入されなかった。ビリー・ワイルダーはホークス演出の見学許可を条件に脚本に参加。翌年には監督デビューしており、これに備えての勉強だったという。
「ゲーテはすべてを言った」で引用されるのも納得
本作は百科事典を編纂する者たちが、清掃員の話す俗語に衝撃を受けて、俗語探しをする中、ひとりの女に振り回されていくといった内容。ハワード・ホークス映画は群れと女の映画監督であり、狭いフレームの中にできるだけ多くの人間の顔を収めようとする空間の使い方。そして、男だらけの空間に紅一点を配置し手綱を握らせるアプローチが面白かったりする。
そして、映画の大半を過ごすこととなる仕事部屋。確かに、「ゲーテはすべてを言った」におけるテレビ番組収録スタジオとしてありそうなリアリティがあった。また、内容も研究者たちが未知を求めて振り回されていく内容なので、あの場面で本作が浮かぶのは必然だったといえよう。