マリア・カンデラリア(1944)
María Candelaria
監督:エミリオ・フェルナンデス
出演:ドロレス・デル・リオ、ペドロ・アルメンダリス、アルベルト・ガラン、マルガリータ・コルテス、ミゲル・インクランetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
国立映画アーカイブ「メキシコ映画の大回顧」にて第1回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『マリア・カンデラリア』を観た。タイトルだけは知っていたが、なんと『ワイルドバンチ』マパッチ将軍役のエミリオ・フェルナンデスが監督していたことに驚かされた。そして、さらに驚いたのは後に世界遺産となるソチミルコが舞台だったのだ。
『マリア・カンデラリア』あらすじ
貧しいインディオの娘、マリア・カンデラリア(デル・リオ)が辿った悲劇の運命を、彼女の美しさに魅了された画家(ガラン)が回想する。メキシコ映画黄金期を代表する監督のエミリオ・フェルナンデス(1904―86)は、ハリウッドでサム・ペキンパー監督作品を筆頭に存在感を発揮したメキシコ人俳優としても名高い。一方で、主演のドロレス・デル・リオは1943年にハリウッドからメキシコに拠点を移し、ラテンアメリカ女性の力強さを体現するキャラクターを演じ続けた。2024年にアカデミー・フィルム・アーカイブ、UNAMフィルモテカ等の協働復元プロジェクトによって復元された版を上映。
※国立映画アーカイブより引用
世界遺産ソチミルコで村八分
ナワトル語で「花の野の土地」と呼ばれるソチミルコはメキシコのヴェネツィアと呼ばれるほど魅力的な運河が特徴的な土地だ。今は水質汚染で野菜の栽培はできないがチナンパと呼ばれる筏の上に作った畑を使った花の栽培は今でも続いているという。映画は、この運河を有効活用した物語となっている。貧しい女マリアと恋人ロレンソ。ふたりは借金取りに追われている。ことあるごとに教会に駆け込み、神父の許しを請う姿は村人たちからのヘイトも溜めまくり村八分状態となっている。ある日、マリアが熱を出したことから運命の歯車が狂い始める。本作が興味深いのは、マリアもロレンソも結構ムカつくレベルで開き直っているところにある。神の許しがあれば、借金を踏み倒せてしまう、司法が整備されていない状況に厭らしさ。流石に借金取りの方に同情せざる得ない。ロレンソはやがて刑務所に入れられるのだが、マリアの危機を目撃し、怪力でプリズンブレイクする。あまりの筋肉プレイに爆笑した。