機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning(2025)
監督:鶴巻和哉
出演:黒沢ともよ、石川由依、土屋神葉etc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
やたらと評判の良い『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』を観に行った。正直、ガンダムは最初の映画と閃光のハサウェイしか触れたことがないのだが、そんな私でもネタバレ要素しかないサプライズサプライズの応酬に、「これは何も話せないぞ」と思った。一方で、本作はファンムービーの域に留まることなく、わずか81分の中で駆け足になることなく鮮やかに一本の映画としてまとめ切った離れ業を魅せる極めて映画的な作品であった。冗長鈍重でコンセプトだけが先行するハリウッド映画に辟易していただけに、映画を観た多幸感に満ち溢れる体験であった。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX Beginning』あらすじ
「エヴァンゲリオン」シリーズのスタジオカラーと「ガンダム」シリーズを手がけるサンライズがタッグを組んだアニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)」の劇場先行上映版。日本テレビ系列で放送予定のテレビシリーズから一部話数を劇場上映用に再構築した。
宇宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、戦争難民の少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技「クランバトル」に巻き込まれる。「マチュ」というエントリーネームでクランバトルに参加したアマテは、最新鋭モビルスーツ「GQuuuuuuX(ジークアクス)」を駆り、 苛烈なバトルに身を投じていく。そして、そんな彼女の前に、宇宙軍と警察の双方から追われていた正体不明のモビルスーツ「ガンダム」と、そのパイロットの少年シュウジが姿を現す。
監督は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」をはじめとする「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの鶴巻和哉、シリーズ構成は「トップをねらえ2!」「フリクリ」などで鶴巻監督とタッグを組んでいる榎戸洋司。また、スタジオカラー代表の庵野秀明も脚本、デザインワークス、絵コンテに参加している。声優は、主人公アマテ・ユズリハ/マチュ役に黒沢ともよ、マチュと出会う難民の少女ニャアン役に石川由依、2人の前に現れる少年シュウジ役に土屋神葉。
ハリウッドよ、このタイトさを見習ってくれ
予告編の雰囲気では「フリクリ」の質感でガンダムをやるようなイメージがあった。しかし、開始40分近くかけて全く別の質感の映像が流れる。そう、クラシカルなガンダムが始まるのだ。ひょっとして、同時公開の番外編かなんかのチケットを買ってしまったのかと思うのだが、やたらと作品に気合が入っており、恐らくファンにとっては観たかった世界線のガンダムに興奮するであろう。それが思わぬところで、本編へと結合する。「GQuuuuuuX」編では、フリクリさながら、アンニュイな学生がひょこんなことから壮絶な冒険へと迷い込む流れとなっている。コロニーの中で生成された偽の重力。本当の重力を知らないマチュは、未来の見えない、どこか居心地の悪い生活に退屈さを抱いていたのだが、コロニーの外で発生したガンダムによる戦闘の中、落下が地上からの上昇といった形でコロニーを突き破りマチュの前に立ちはばかる。その騒乱の中で、彼女は覚醒し、ガンダムに乗り込みコロニーの外へ。コロニー内とは異なる落下、感覚を通じて彼女は自由を手にし、闘いに望む。本作は一貫して、上昇下降を通じた「重力」の存在を意識させる。それは、擬似重力の中で形状を保っているワインにも象徴される。普通の重力ではないのが肝であり、擬似的に生み出された重力を意識する=感覚的に自分に流れる物理法則を理解することで混沌とする世界を切り拓いていく様を象徴しているのだ。これをたった81分でまとめ切ったことに感動した。
※映画.comより画像引用