【特集ダグラス・サーク】『社会の柱』強引な航海

社会の柱(1935)
Stützen der Gesellschaf

監督:デトレフ・ジールク(ダグラス・サーク)
出演:ハインリッヒ・ゲオルク、Maria Krahn、Horst Teetzmann、アルブレヒト・シェーンハルスetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

2025年の映画初めはシネマヴェーラの特集「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」にした。ダグラス・サークといえば、トッド・ヘインズやライナー・ヴェルナー・ファスビンダーに影響を与えたメロドラマの名手であるが、今回の特集で連続して4本観ることであたらしい側面を見出すことができた。

『社会の柱』あらすじ

ノルウェイの港湾都市で領事を務める男の欺瞞と虚飾の人生を描く。隠し子も横領も、アメリカに移住した義弟のせいにしてのし上った男の人生が、義弟の帰国によって崩壊する。唯一愛する息子が乗った船を襲う嵐が、庶民を顧みない領事の価値観の破壊を象徴するようだ。ヒトラー時代のドイツで製作されたイプセンの戯曲を原作とした一作。

※シネマヴェーラより引用

強引な航海

ドイツハンブルク出身のダグラス・サークは元々ドイツを拠点に活動していた。その時はデトレフ・ジールク名義で活動していたのだが、ナチスを嫌い渡米する中でダグラス・サークとして映画を作ることとなる。本作は珍しいデトレフ・ジールク時代の一本である。

ノルウェイの港湾都市を舞台に男たちの傲慢さや強引さを描く作品であり、映画は嵐を強調している。船が沈没するかもしれない嵐にもかかわらず無理矢理、出港する。それが歴史としてその地に残る様を風刺として描いているように思え、終盤の輝かしい出港の下にどれだけの犠牲が出ていたのかを考えさせられる。こんかい4本観たわけだが、群れの扱いに長けているなと感じた。人間の運動と波の運動のシンクロに惹きこまれるものがあった。しかし、一本目の段階ではまだダグラス・サークモードに入れず、若干睡魔も押し寄せてきた。