『Motel Destino』モーテル、それは性と暴力、溶けた刻が渦巻く場所

Motel Destino(2024)

監督:カリン・アイヌー
出演:ファビオ・アスンサォン、Nataly Rocha、Iago Xavier etc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されたカリン・アイヌー新作『Motel Destino』を観た。

『Motel Destino』あらすじ

Under the burning sky on a roadside on the coast of Ceará, Motel Destino is the scene of dangerous games of desire, power and violence. One night, the arrival of young Heraldo definitively transforms the daily life of the place.
訳:セアラ海岸の道端にある燃えるような空の下、モーテル デスティーノは欲望、権力、暴力の危険なゲームの舞台です。ある夜、若いヘラルドの到着により、この場所の日常生活は決定的に変わります。

モーテル、それは性と暴力、溶けた刻が渦巻く場所

ラテン映画特有の茹だるような暑さがひしひしと伝わってくるような空間。昼だろうと夜だろうと暑苦しく、人々はだるそうにタバコを吸い、銃を持った男たちが腰かける。そこにモーテルがあるのだが、これが性欲と暴力の工場のように機能する。赤いネオンにまみれた空間で激しいセックスが行われるのだが、そのまま首絞めにまで発展する。街中で動物が性行為をするようにむき出しの人間の欲望が現出する。

本作はフィルムノワールとして、欲望に取り込まれていく空間としてモーテルが位置づけられている。茹だるような暑さの中で時が溶けていき、凄惨で虚無でどうしようもない人々の地獄が捉えられていく。

オープニング、エンディングがカッコいいのと、空間造形がユニークだったりするのだが、正直この手の話ならショーン・ベイカーの方が上手いと思った。ショーン・ベイカーの場合、ユーモアと怖さのチューニングが味わい深いものへと昇華させているのに対し、こちらは想定内の怖さ一辺倒で押し切っている印象が強い。

男による暴力批判としてもイマイチなところがあり、嫌いにはなれない作品ではあるが複雑な気持ちにさせられた。

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オンリー ハーツ