『チャレンジャーズ』誤魔化しの積み重ねでしかない

チャレンジャーズ(2023)
Challengers

監督:ルカ・グァダニーノ
出演:ゼンデイヤ、ジョシュ・オコナー、マイク・ファイスト

評価:10点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

上半期に観逃した作品をインド行きの飛行機で観る。評判がやたらと高かったのだが、なんとなく嫌な予感がしていた。実際に観てみると、見事に的中してしまった。

『チャレンジャーズ』あらすじ

「君の名前で僕を呼んで」「ボーンズ アンド オール」のルカ・グァダニーノ監督が「DUNE デューン 砂の惑星」「スパイダーマン」シリーズのゼンデイヤを主演に迎え、2人の男を同時に愛するテニス界の元スター選手と、彼女の虜になった親友同士のテニス選手の10年以上にわたる愛の物語を描いたラブストーリー。

テニス選手のタシ・ダンカンは確かな実力と華やかな容姿でトッププレイヤーとして活躍していたが、試合中の怪我により選手生命を絶たれてしまう。選手としての未来を突然失ってしまったタシは、自分に好意を寄せる親友同士の若き男子テニス選手、パトリックとアートを同時に愛することに新たな生きがいを見いだしていく。そして、その“愛”は、彼女にとって新たな“ゲーム”の始まりだった。

「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがパトリック、「ウエスト・サイド・ストーリー」のマイク・ファイストがアートを演じた。

映画.comより引用

誤魔化しの積み重ねでしかない

映画は、テニスの試合から始まる。ロングショットから客席へとクローズアップしていき、『見知らぬ乗客』における左右に振れる群衆の眼差しの中、微動だにしない眼差しを混ぜる違和感を引用する。

映画は恋のシーソーゲームをテニスアクションへと変換しながら物語り、男たちの葛藤、焦燥、そして苛立ちをラケットやボールの運動へと置換させている。そこへEDMを流し、独特な高揚感を与える。

この演出がとにかく鼻につく。試合を全く演出できてないのだ。最新技術の小手先のカット(ボール目線のカット、カメラスレスレを掠めるカットなど)を積み重ねているだけで、連続性のある試合の風景がどこにもない。つまり、誤魔化しハリボテの映画なのである。『見知らぬ乗客』を引用するなら、試合の場面を一番に参考にすべきだろう。

謎の男よりも先に遊園地へ着くため、試合をとっとと終わらせようとするのだが、長引いてしまう焦燥がシームレスに動くボールと肉体に宿る。これこそがスポーツ映画であり、心理とスポーツの結びつきなのである。

ルカ・グァダニーノは撮りたい画のために雑な展開演出をしてしまうイメージがあるのだが、本作はその極みといえよう。
※映画.comより画像引用

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