【特集:アンパンマン】『それいけ!アンパンマン つみき城のひみつ』二国間戦争の仕組みを紐解く

それいけ!アンパンマン つみき城のひみつ(1992)

監督:永丘昭典

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、アンパンマンフルマラソンを並走している済東鉄腸さんと中間報告スペースをした。彼によれば『映画 それいけ!アンパンマン つみき城のひみつ』が大傑作とのことなので観てみた。アンパンマン雑談の中ではあまり注目の集まらない作品のように思えるが、確かに良作であった。

『それいけ!アンパンマン つみき城のひみつ』あらすじ

やなせたかしの絵本を原作とする名作アニメ「それいけ!アンパンマン」の劇場版第4作。隣り合わせなのに仲の悪い「つみき島」と「おりがみ島」。それぞれの島で暮らすブロック王子とオリガ姫は、2つの島の関係に心を痛めながらも、互いに愛しあっていた。そんなある日、ばいきんまんが2つの島を手に入れようと攻め込んでくる。ブロック王子とアンパンマンたちは、ばいきんまんにさらわれたオリガ姫を助けようとするが……。

映画.comより引用

二国間戦争の仕組みを紐解く

本作は、ばいきんまんが王と偽り、つみき島を占領するとこから始まる。追い出されたブロック王子はガランガラ大臣と共にアンパンマンのもとへ流れつき、島奪還を目指す。一方で、つみき島はおりがみ島と対立しており、つみき島からの攻撃に対して救うかどうかで難色を示す。

本作は窮地に陥る中で人々は団結できるのかを説いた作品である。つみき島もおりがみ島も国全体の空気感から盲目的に相手を敵対視している。その状態に陥ると、相手が危機に陥っており、敵が共通している場合でも協力を渋る。アンパンマンサイドは第三者として仲介に入り、救助活動をする。感覚ではなく、理性で考えることの大切さを謳った本作は明らかに戦争を意識しており、つみき島から放たれるつみきは空襲さながらの重さをもっており、アンパンマンも汚れ付きつみきに被弾して弱ってしまうのだ。極めつけは、再生能力を持ったウッドラーの猛攻で両国が危機に瀕する。この状況下で生まれる友情、他者を愛する精神は感動ものであり、確かに傑作であった。