【特集:アンパンマン】『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』ばいきんまんは背中で語る

それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン(2024)

監督:川越淳
出演:戸田恵子、中尾隆聖、上戸彩、岡村隆史etc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今年のアンパンマンが神回らしいので早起きして観に行った。ばいきんまん推しにとってはあまりにも熱い作品であった。

『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』あらすじ

やなせたかし原作の国民的子ども向けアニメ「それいけ!アンパンマン」の劇場版35作目。絵本の世界に吸い込まれ、そこで助けを求められたばいきんまんが、絵本の世界を守るためアンパンマンと力をあわせて強敵に立ち向かっていく姿を描く。

ある日、1冊の絵本を見つけたばいきんまんは、絵本の中から助けを求める声が聞こえたかと思うと、絵本の中に吸い込まれ、そこで森の妖精ルルンと出会う。怖がりで勇気が出せないルルンは、森で大暴れする「すいとるゾウ」をやっつけてほしいと言う。最初は嫌がりながらも、すいとるゾウに立ち向かっていくばいきんまんの姿に勇気をもらうルルンだったが、すいとるゾウの強さに苦戦を強いられる。絶体絶命のピンチの中、ばいきんまんはルルンにアンパンマンを呼ぶように伝えるが……。

ゲスト声優として、絵本の世界に住む森の妖精ルルン役を上戸彩が担当。また、「ナインティナイン」の岡村隆史がすいとるゾウ役を務め、芸歴33年にしてアニメに初声優挑戦した。

映画.comより引用

ばいきんまんは背中で語る

みみせんせい主催のイベント会場を襲撃したばいきんまんはアンパンマンに吹き飛ばされる。悔しがるばいきんまんは工場の中から絵本を見つけると、吸い込まれてしまう。エネルギーを奪うすいとるゾウに侵略されている森の民はばいきんまんに助けを求める。

本作はなんといっても、ばいきんまんの技術力の高さとエンジニアとしての志の高さが魅力的であろう。プライドの高いばいきんまんは、強敵すいとるゾウから逃げようとするところ、ルルンに鋭い言葉を言われ、すいとるゾウを撃退することにする。工場もなければ、メカもない。生身での戦闘力はアンパンマンに遥か及ばない彼だったが、異世界に残された資源を把握し、ウッドダダンダンを製造することになる。アンパンマンシリーズにおいて、メカを製造する過程は丁寧に描写されるのだが、今回は群を抜いて丁寧だ。まず、鉄を作り、そこから斧や鉋といった道具を製造。そして木を加工していく。最初こそルルンは役立たずだし、彼女自身やる気がないので、そこら辺にいろと言うのだが、彼女が協力的になると心理的変化が訪れる。彼女のドジによって工程の手戻りが発生するのだが、今まで何度もメカを作ってはアンパンマンに破壊されてを繰り返してきた彼、仕事を投げ出すことはしないのだ。いざ、すいとるゾウと戦う段階になってルルンが「怖い」と吐露する。すると彼は背中で「俺も怖い」と弱みを提示するのである。

そして、ばいきんまんの良さがさらに発揮される。すいとるゾウはかつて登場したよごすゾウを凌駕する程に強い、惜しいところで負けてしまう。プライドは高いけれど、ばいきんまんは肝心な時に人を頼る男だ。

「ルルン、アンパンマンを呼んでこい」

こうして、ばいきんまんとアンパンマンが共闘してすいとるゾウを撃退することになるのだ。アンパンマンも、いつもは敵のばいきんまんであるが、彼が助けを求めるのなら手を差し伸べる。これは熱い展開以外の何者でもないだろう。

1時間でここまで熱いドラマを展開できるとは、アンパンマン恐るべしだ。
※映画.comより画像引用