『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』閉塞感のあがきと音

エリ・エリ・レマ・サバクタニ(2005)
ELI, ELI, LEMA SABACHTHANI?

監督:青山真治
出演:浅野忠信、宮﨑あおい、中原昌也、筒井康隆、戸田昌宏etc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

苦手監督に青山真治がいる。いまいち映画理論と面白さが自分のなかで紐づかないものがあって苦手なのだが、急に『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』が観たくなって挑戦してみた。

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』あらすじ

⻄暦2015年。世界中で正体不明の“レミング病”が蔓延していた。そのウィルスは視覚映像によって感染し確実に死に⾄るというもの。⼈々が不安に怯え絶望感に満ちる中、病気の流⾏を抑制するといわれる唯⼀の⽅法が発⾒される。それは、ミズイ(浅野忠信)とアスハラ(中原昌也)が演奏する“⾳”を聴くこと。そんな彼らのもとに、“レミング病”に感染してしまった孫娘ハナ(宮﨑あおい)を助けてほしいという富豪(筒井康隆)が現れ……。

Filmarksより引用

閉塞感のあがきと音

ガスマスクをつけた男が荒野を放浪する。彼らはゴムパイプを振り回したり、トランプを飛ばしたり、録音マシンを銃に見立てながら「音」を探している。疫病が蔓延する世界。先の見えない絶望に包まれる中、音を探す行為は救いとして描かれる。この音を探す行為が、車の移動と交差していく。映画において物語を運ぶ装置として「車」があり、本作では車の移動でもって絶望的な世界の中のもがきやあがきが描かれる。それだけなら、ありきたりで退屈なわけだが、自然にないようなノイズを探す冒険を並行させることでとたんに面白くなる。まるで『2001年宇宙の旅』のボーマン船長が観る光景のように未知と遭遇する衝撃があった。これは正直、劇場で観た方が衝撃度が強い作品だと思った。
※映画.comより画像引用

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リトル・モア