『オブリビオン』:その演出は『トップガン マーヴェリック』へと続く

オブリビオン(2013)
Oblivion

監督:ジョセフ・コシンスキー
出演:トム・クルーズ、モーガン・フリーマン、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボローetc

評価:70点



おはようございます、チェ・ブンブンです。

トップガン マーヴェリック』がめちゃくちゃ面白かったので、ジョセフ・コシンスキー×トム・クルーズ『オブリビオン』を観た。本作は『ナイフ・プラス・ハート』の音楽を手がけたM83も製作に加わっているため、期待度大でした。実際に観てみると、かなり歪な映画に仕上がっていました。

『オブリビオン』あらすじ

トム・クルーズ主演、「トロン:レガシー」のジョセフ・コジンスキー監督によるSFアクション。スカヴと呼ばれるエイリアンの攻撃により地球が壊滅し、生き残った人類は遠い惑星へと移住を余儀なくされる。最後まで地球に残り監視任務に就いていたジャック・ハーパーは、ある日、墜落した謎の宇宙船の中で眠っている美女を発見。彼女を保護したジャックだったが、そこへ現れたビーチと名乗る男に捕らわれてしまう。ビーチはジャックに驚くべき真実を告げ、そのことからジャックと地球の運命が大きく動き始める。脚本に「ディパーテッド」のウィリアム・モナハンや、新「スター・ウォーズ」も手がけるマイケル・アーントらが参加。共演にオルガ・キュリレンコ、モーガン・フリーマン。

映画.comより引用

『トップガン マーヴェリック』に繋がる演出とは?

正直、話自体は退屈だ。エイリアンの侵略に勝利したものの。地球は壊滅してしまい、別の惑星へと移住することとなる。トム・クルーズ演じる男は、かつての地球の残像の手触りを感じながら最後の任務に励むが、ある日、墜落した宇宙船から女性を引き上げてきたことで、陰謀を知る。全体的にストーリー進行がゆっくりしており、広大な地球を探索する中で少しずつ謎がわかってくる。そのミステリアスな雰囲気は面白いのだが、どうも話が全然入ってこない。なぜだろうか?

それは演出が凄すぎるからだ。元々、本作はジョセフ・コシンスキーのグラフィックノベルが原作。絵コンテができているようなもので、その構図に当てはめるような作り方を恐らくしている。そのため、頻繁にカッコいい構図が押し寄せてくる。例えば、謎の穴を覗き込む場面、スクリーンの横幅を活かした長い構図で穴への覗き込みを描く。また、仄暗い穴の中で戦闘に巻き込まれた彼が、ワイヤーで急上昇するのだが、途中でロープが切れてしまい、落下する場面。走馬灯が流れるように時間がとまり、宙に舞う様子が描写されるのだが、上の希望の光から切り離されるように下の闇へと吸い込まれていく。丁寧な作劇に魅了される。

またなんといっても球体型ロボットだろう。彼を認知すると戦闘モードを解除するロボット。しかし、突然電気音が鳴り、フッと現れ、目を赤くしながら見つめる姿は恐怖そのもの。それが、スーッと土煙の中に消えていったりするのだが、また襲ってくるのかもしれない緊迫感がそこにあるのだ。本作最大の成功は、このロボットの造形を発明したところにあるだろう。

最後に、『トップガン マーヴェリック』の狭い谷間を抜けるシーンや、蟻地獄状の造形、そして『スター・ウォーズ』を彷彿させる終盤のあるシーンは『オブリビオン』で既に存在していた。これが10年の時を超えて、あのような心躍る空中戦へと発展すると知ると熱いものが込み上げてきました。

※映画.comより画像引用

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