アニエスによるヴァルダ(2019)
Varda par Agnès
監督:アニエス・ヴァルダ
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
今年のベルリン国際映画祭で新作を発表しつつも、その直後に亡くなったフランス映画界のレジェンドことアニエス・ヴァルダ。彼女の遺作『アニエスによるヴァルダ』をイメージ・フォーラムで観てきました。本作は、アニエス・ヴァルダが自作を振り返る講義を撮ったもので、テレビミニシリーズとして製作されました。故に、DVDの特典映像のような作品だったのですが、面白い話を沢山聞けて大満足でした。
『アニエスによるヴァルダ』あらすじ
2019年3月に他界したフランスの名匠アニエス・バルダの遺作となった作品。1955年製作の長編劇映画デビュー作「ラ・ポワント・クールト」から、数々の映画賞に輝いた前作「顔たち、ところどころ」まで、バルダ監督が自身の半世紀以上にわたる創作活動を情熱とユーモアあふれる口調で語り尽くし、貴重な映像とともに振り返った集大成的セルフポートレイト。飽くことのない好奇心と情熱をもって生涯現役を貫いた彼女の創作の秘密をひも解いていく。
※映画.comより引用
貴方はだんだんヴァルダ映画を観たくなる
助監督出身でもなく、映画学校で学んだこともないアニエス・ヴァルダは『ラ・ポワント・クールト』でデビューを果たす。海の方向に歩いていくにもかかわらず、声は遠くに行かない演出。ネオリアリズモ的演出に、顔合体のシーンなど、当時としては斬新な演出が光り、その後ミケランジェロ・アントニオーニは『情事』で、イングマール・ベルイマンは『仮面/ペルソナ』でこの野良の映画を踏襲した。彼女は、「ひらめき」を大事にしており、『ヤンコおじさん』では、ハートの板を人物の前面に置いてみたり、『幸福』ではフェードアウトに強烈な色彩を採用したりした。『Lions Love』ではアンディ・ウォーホルのミューズことヴィヴァを主演に、即興的にヒッピーに演技をさせた。彼らの演技を最大限に引き出すため、カメラを数台用意した。
このように、彼女が2時間ひたすらに自作の製作背景を語っていく。観ていると撮影秘話に驚かされ、未見であっても彼女が語る作品を観たくなる。そんな魔力に満ち溢れていました。『百一夜』の失敗以後、ドキュメンタリー作家、そしてインスタレーション作家として活動する彼女は、草間彌生張りのインスピレーションの爆発を作品に投げつけ、猫のお墓ですら魅力的に創り上げてしまう。
インスピレーションお化けが、情熱的に、でもアレハンドロ・ホドロフスキーやアミール・ナデリとは違いビッグマウスにならない語りで映画製作の魅力を語りまくる本作は遺作としてあまりに美しい着地点でありました。個人的に『壁画・壁画たち』が観たくなりました。
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