【ネタバレ考察】『ジュマンジ/ネクスト・レベル』製作者の方が無理ゲーと言ってそう

ジュマンジ/ネクスト・レベル(2019)
Jumanji: The Next Level

監督:ジェイク・カスダン
出演:ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケビン・ハートetc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』の続編が日本でも公開されました。Twitterを観るに、雑だと叩かれまくっている作品ですが、実際に観てみると、前作で作った足枷がかなりの制約プレイになっており、ジェイク・カスダン監督自体がこれ無理ゲーと叫んでいるように見えました。ただ、厄介なことに本作は、ネタバレ地雷原な作品なので、映画を観てから評を読んでいただければと思います。

『ジュマンジ/ネクスト・レベル』あらすじ


テレビゲームの世界に吸い込まれた高校生たちが、本来の姿とかけ離れたゲームキャラクターのアバターになって冒険を繰り広げる姿を描き、大ヒットを記録したアドベンチャー「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」の続編。「ジュマンジ」の冒険をクリアしてから2年。スペンサー、マーサ、フリッジ、ベサニーはそれぞれの進路を歩み、いまは大学生になっていた。しかし、あの時の興奮が忘れられないスペンサーは、破壊したはずのゲーム「ジュマンジ」をこっそり修理し、再びゲームの中に吸い込まれてしまう。スペンサーを救出するため、残った3人も「ジュマンジ」にログインするが、壊れたゲームの世界はバグだらけでキャラの入れ替え設定はめちゃくちゃ。さらに、スペンサーのおじいちゃん達も一緒に吸い込まれていた上に、ジャングルのみならず砂漠、氷山など新たなステージも追加されており……。主演のドウェイン・ジョンソンほか、ジャック・ブラック、カレン・ギラン、ニック・ジョナスらメインキャストも再結集。監督も引き続きジェイク・カスダンが務めた。
映画.comより引用

人を殺すことにしか興味ない映画

前作では、3回死んだらゲームオーバーという制約を設け、映画終盤に全員のライフを残り1にすることに成功した。

その手数とスマートな脚本を賞賛した記憶があるのだが、本作は完全にそれが足枷となってしまった。今回はメンバーが増えて前回以上にライフを奪わなければいけないのだが、2時間の中でそれを描くのに苦戦した模様。それ故に、景気良くどうでもいいところで人がお亡くなりになります。開始早々、蛇に食われ、終いには一気に全滅といったローラー作戦に出ます。そして、本来であれば『ジュマンジ』ヘビーユーザーであるあの人ですら、凡ミスで死亡する有様。いくらポップコーンムービーでも雑すぎないか?

そして前作で『ブレックファスト・クラブ』的要素を絞り出してしまったので、手札がゼロとなってしまい、VFXを使ったド派手なアクションや、前作のギャグの使い回しが目立っており、火力不足感が否めなかった。

予告編詐欺感が…

実はこの映画のテンションを低くさせたのは劇場で流れた予告編だと言えます。予告編では、ゲームがバグっておりダチョウが増殖しててんやわんや的な演出があったのだが、それは映画では登場せず、ジュマンジおじさんの解説も通常運転だ。唯一バグ的要素が、キャラクターの入れ替わり描写だったというところにあります。キャラクターが入れ替わるのは、新要素として面白いとは思うのだが、明らかに前作と比べてヌルゲー感が強まってしまっています。それは協力プレイ必至な難関ゲーム《ジュマンジ》にもかかわらず、スペンサーが単身である程度のところまで進めてしまっているところからも感じてしまう。無理ゲー感をアピールする、猿やダチョウとの戦いも、ただ数が多いだけなので、もっと『魔界村』や『たけしの挑戦状』的鬼畜さが欲しかった。

それにもかかわらず、主人公たちは死に過ぎである。終いには、20年間も《ジュマンジ》の世界に閉じ込められて、ジュマンジのプロゲーマーとなっていたはずのアレックスも、凡ミスで2回連続死んでいる間抜けさが表に出まくっています。

これはやはり、ポケモンやマリオカートバグのように裏世界や没ステージに落ちてしまった主人公たちの壮絶な冒険を主軸にした方がよかったと思います。

オークワフィナの出世が凄い!

オーシャンズ8』、『クレイジー・リッチ!』で一躍有名となり、『フェアウェル』では中国とアメリカの間で揺らぐアイデンティティを繊細な仕草で表現しアカデミー賞ノミネートは堅いと言われているラッパーのオークワフィナが、スペンサーのゲームキャラ役こと盗賊を演じている。猫背で、冷めた目でこそこそ動く彼女の演技はドウェイン・ジョンソンよりも鮮明に脳裏に残ります。

本作は下手な入れ替わり描写があるせいで俳優に対する負荷が異常なこととなっているにもかかわらず、余裕綽々とスペンサー、そして彼のおじいさん2役を演じきっている彼女を一番評価したい。もちろん、役者陣の嬉々と豹変していく演技はどれも素敵でしたが、MVPは完全にオークワフィナである。

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