『ジュディ 虹の彼方に』ジュディ ・ガーランド、笑みの裏に哀しみを隠す

ジュディ 虹の彼方に(2019)
JUDY

監督:ルパート・グールド
出演:レネー・ゼルウィガー、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボンetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日本公開2020年3月6日の『ジュディ 虹の彼方に』を観賞しました。本作は、『オズの魔法使』、『スタア誕生』でお馴染みミュージカルスター、ジュディ・ガーランドの晩年を描いた作品。ジュディ・ガーランドは個人的に因縁のスターで、大学時代のミュージカル論テストで満点を狙うも、「『オズの魔法使』とLGBTQの象徴であるレインボーフラッグの関係性を論じろ」という不意打ち記述問題が答えられず満点を逃した思い出があります(正解は、「ジュディ・ガーランドは同性愛へ理解があり、ゲイコミュニティの中でアイコン的存在だった。レインボー・フラッグはそんな彼女が『オズの魔法使』で歌った『虹の彼方に』から着想され作られた象徴。」※諸説あるそうなので今考えると悪問かも)。

さて、レネー・ゼルウィガーの演技が評判な本作を観たのですが、意外な作りをしていました。

『ジュディ 虹の彼方に』あらすじ


「オズの魔法使」で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前の1968年冬に行ったロンドン公演の日々を鮮烈に描いた伝記ドラマ。「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズのレニー・ゼルウィガーが主演を務め、ジュディの奔放で愛すべき女性像と、その圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつける姿を見事に演じきった。1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。共演に「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のフィン・ウィットロック、テレビドラマ「チェルノブイリ」のジェシー・バックリー、「ハリー・ポッター」シリーズのマイケル・ガンボン。「トゥルー・ストーリー」のルパート・グールド監督がメガホンをとった。
映画.comより引用

ジュディ ・ガーランド、笑みの裏に哀しみを隠す

ジュディ・ガーランドの伝記映画となれば、『オズの魔法使』や『スタア誕生』等往年のミュージカル映画の華や17歳でハリウッドドリームを掴んだものの名声による重圧で薬物中毒、MGMに管理されたブラックスケジュールに遺作が皮肉にも彼女の歌声が人に生きる力を与える作品『I Could Go On Singing』だったりと数多エピソードがあるのですがそういったキャリアの華で彼女の心情をベールに包むのを拒絶しようとしている。作りとしては、『オール・ザット・ジャズ』である。『オール・ザット・ジャズ』は、コレオグラファーの男が薬物に溺れながら有終の美を飾っていく話で、人生の淵で歌う《Bye Bye Love(Bye Bye Life)》は感動ものである。

本作は、ひたすらにジュディ・ガーランドの陰鬱とした表情が映し出される。かつての栄光は失われた。もうスタア街道を駆け上がることすらできなくなった彼女はプライドから、皆の前では孤高の女優として君臨するのだが、一人になると、机に伏せ今にも死にそうな目で人生を反芻する。そんな彼女が今残された唯一輝ける場所はステージだ。ステージに立てば時を忘れパワフルな歌声で会場を沸かせる。ステージに立てさえすれば、皆にチヤホヤされるのだ。彼女は地を這うように、ステージへと向かっていく。

監督のルパード・グールドはテレビシリーズ『嘆きの王冠 ホロウ・クラウン』の監督。演劇的コスチュームプレイが得意な監督は、いかにも演劇的な振る舞いに力点を置いた感情の引き出しに注力することで、誇張が多いことで有名な彼女の人生をじっくりと見つめ直した。それ故に、彼女の持つ華を期待して観ると肩透かしを食らう厄介な作品となっているのですが、ジュディ・ガーランドファンとしては熱い有終の美が観られる作品なのでおすすめと言えよう。

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