【カンヌ国際映画祭特集/ネタバレ】『ドッグマン』トリマーという設定から観る《手なづける》物語

ドッグマン(2018)
DOGMAN

監督:マッテオ・ガローネ
出演:マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペーシェ、ヌンツィア・スキャーノ、アダモ・ディオニージ、フランチェスコ・アクアローリetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、有楽町朝日ホールで行われたイタリア映画祭に行ってきました。お目当は、マッテオ・ガローネの新作『ドッグマン』。第71回カンヌ国際映画祭で男優賞とパルムドッグを受賞した作品です。日本公開は8/23(金)ですが、一足早く観ることができました。マッテオ・ガローネといえば、『リアリティー』とか『五日物語』といった変わった作品を撮るイメージが強い。今回はトリマーが主役のギャング映画だと聞いて気になりました。果たして…

※ネタバレ記事です。

『ドッグマン』あらすじ


娘と犬をこよなく愛するマルチェロは、「ドッグマン」という犬のトリミングサロンを経営し、仲間との食事やサッカーを楽しむ日々を送っている。だが一方で、その穏やかな生活をおびやかす暴力的な友人シモーネとの従属的な関係から抜け出せずにいた。シモーネによって仲間や娘の信用を失ったマルチェロは、元の平穏な日常を取り戻すためある行動に出るが・・・。鬼才、マッテオ・ガッローネ監督が描く衝撃の不条理ドラマ。2018 年カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞ほか、数々の賞を受賞。8月公開。
※イタリア映画祭公式サイトより引用

トリマーという設定から観る《手なづける》物語

本作は、トリマーという設定が面白い働きをしている作品です。冒頭、犬のトリミングサロン《ドッグマン》を経営するマルチェロは狂犬と対峙します。狂犬は今にも噛みつきそうな雰囲気でうなり声を上げ、牙をむき出しにしてマルチェロに襲いかかろうとする。それを周囲の犬が不安げに眺める。マルチェロは諦めない。じっくりと、なだめ、おやつを与えて徐々に落ち着かせて行くのです。ここで、この映画は男が狂った存在を落ち着かせる話だと強調している。

そしてマルチェロの前に巨漢な友人シモーヌが現れる。シモーヌは町一番の嫌われ者だ。暴力的で「おれのものはおれのもの、おまえのものもおれのもの」とジャイアニズムを行使するその男は、ゲーセンのスロットマシンを壊し、店の人から金をせびったりしている。そおんな彼に、マルチェロは定期的にドラッグを与えている。対価を求めても、全然支払ってくれないのだが、自分の周辺に被害が出ないように搾取され続けているのです。

そんなある日、シモーヌは《ドッグマン》横の店から強奪を働き、警察に逮捕される。マルチェロも共犯として逮捕され、警察から「シモーヌを売れば釈放してやる」と言われるのだが、心優しいマルチェロはシモーヌを売らず代わりに投獄されてしまうのだ。

そして出所後に、マルチェロとシモーヌの壮絶なバトルが繰り広げられる。マルチェロが投獄されている間、シモーヌは町から搾取を続け、豪華なバイクを購入するようにまでなった。その搾取による恨みで、マルチェロを守ってくれる友は0人となってしまう。愛する娘すら親族に隔離されてしまう。

警察も友も頼れなくなった、マルチェロはシモーヌを手なづけることで復讐しようとするのです。

麻薬で餌付けを行い、《ドッグマン》の犬小屋にシモーヌを閉じ込める。しかし、それでもシモーヌは怪力男。犬小屋を破壊して、首を締めようとしてくるのだ。まるで冒頭の狂犬を鎮めるように試行錯誤しながら怪力男と戦うマルチェロを演じたマルチェロ・フォンテの迫真の演技はカンヌ国際映画祭男優賞も納得のもの。トリマーというどんな犬とも向かい合って、コントロールする姿と、孤立しながらも悪と戦う弱者を対比させながら、熱いアクションを魅せてくるマッテオ・ガローネのユニークな視点に惹き込まれました。マッテオ・ガローネ監督は、今実写版『ピノキオ』を製作中。これにもマルチェロ・フォンテが参戦しているようなので楽しみです。

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