「聖の青春」村山聖VS羽生善治の静かな闘いを疑似体験

聖の青春(2016)

聖の青春

監督:森義隆
出演:松山ケンイチ、
東出昌大、染谷将太etc

評価:70点

難病と闘いつつも、
人生を将棋に捧げた棋士・
村山聖に迫った大崎善生
小説の映画化。

村山聖が天才・羽生善治と
死闘を繰り広げる様子に
フォーカスが当てられている
らしい。
TOHOシネマズ コルトンプラザ
観てきましたぞ。

※去年の12月に書いた記事です。

「聖の青春」あらすじ

難病・腎ネフローゼを煩っている村山聖は、
将棋に魅せられて、
上へ上へと上がることを夢見て
頑張っていた。
そんな中、羽生善治との
闘いに敗れてしまう。

悔しさのあまり、羽生善治を
倒すことに集中するが、
彼の死期は目前に迫っており…

「将棋」の真髄に迫る

将棋…それは非常に根気のいる
頭脳スポーツだ。
真剣に将棋をやったことのある人なら、
一局3時間もする試合を経験したことが
あるだろう。

ブンブンは実は映画に嵌まる前は、
囲碁将棋部に所属しており、
本作でも登場する千駄ヶ谷の
将棋会館で試合をしていました。

中には2~3時間する死闘を繰り広げた
こともある。
静かながらも一手たりとも
油断ならない緊迫が周りを包み、
終わった後はどっと疲れたものだ。

近年、「ちはやふる

」や
完全なるチェックメイト

」と
いった机上のスポーツの映画化が流行っているが、
それの多くが演出として派手さを求めている。

しかし「聖の青春」は、
棋士達の等身大であるプレイを
徹底的に観客に追体験させるような工夫が
張り巡らされているのである。

棋士達が打つ一手は、ゆっくりずっしり
としたもので「バチィ!」と盤を鳴らす。
そして静けさが流れる。
そして、棋士達の額からは汗や
焦燥感が滲み出る…

そして盤上をカメラが捉えると、
入り乱れ一色触発の局面で
あることに気づかされる…

そして持ち時間を使い果たし、
どうにか手を打たないと行けない。
審判が「50秒、1,2,3,4」と
死へのカウントダウンを始めるが、
どうにも手が浮かばない緊張。

将棋をやったことのない人にも
分かるほど、将棋の世界に
没入できる演出が上手く出来ていた。

正直、ストーリーじたいは、
地味で地味で平坦。
東出昌大の羽生善治演技が
あまり似ていない。
病気の奮闘による葛藤が
上手く描けているとは言いがたい
などといった問題はあれど、
重厚で一見の価値ある作品なのは
間違いない。

本作にこそPerfumeの「FLASH」
テーマ曲として似合うのではと
思う程に「刹那」の描き方に長けた
作品でした。
将棋をやったことがあれば、
村山聖と羽生善治の世紀の
闘いでの盤面がいかに
ヤバいことなっているかが分かる。
なので、将棋をやっていれば尚更
本作は観た方がいいぞ!
さて、来春公開の「3月のライオン」
こんな将棋描写ができるのであろうか?

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