ディヴァイン(2016)
DIVINES(2016)
監督:Houda Benyamina
出演:Oulaya Amamra,
Déborah Lukumuena,
Kevin Mischel etc
評価:80点
NETFLIXには最近、
海外の映画祭では
絶賛されているものの、
日本では全く紹介されていない
インディーズ映画が沢山
公開されている。
今回、カンヌ国際映画祭で
カメラドールを獲った
フランス映画
「ディヴァイン(DIVINES)」
を観ました。
タイトルを直訳すると
「神々」と仰々しい大げさな
ものだが果たして…
「ディヴァイン」あらすじ
ドゥニアは貧しい家庭の女の子。学校に通わずに、スーパーで
万引きして転売で小銭を
稼いでいる。
そんなある日、
友達と麻薬ディーラーの
仕事を手伝うことになり…
ギリシャ神話のような悲劇
「最強のふたり」以後、フランスで
大量生産され陳腐化している
移民の貧困奮闘劇。
こんなに大げさなタイトルで
大丈夫なのかと思いきや、
これが大傑作であった。
主人公のドゥニアが、
貧困故に麻薬ディーラー
として働くというプロットは
よくある。
しかし、そのプロットに
ダンサーとの切ない愛と
ヤクザのドンに近づく為に
策略する場面が巧みに交差していき、
それがピタゴラスイッチのごとく、
主人公達の人間関係に変化を
及ぼし悲劇へと繋げていく。
見方を変えれば全く違った側面を
持つ3つのエピソードを
表情豊かに演技で駆け抜けていく
Oulaya Amamraが物語全体に
重厚感を与え、
「ディヴァイン」というタイトルを
背負っても全く
おかしいところがない説得力
をもった物語となっている。
ダンスに注目
特に本作で面白いところは
ダンスシーンにある。
ドゥニアはひょこんなことから
ダンサーの青年に恋心を
抱き彼の練習場へ訪れるようになる。
そのダンサーはチームの中で
落ちこぼれなんだけれども、
プライドから練習をする。
それとシンクロするように、
ドゥニアもヤクザのドン
に近づき大金を手にしようと
猛特訓するシーンがシンクロする。
そして、ドゥニアが度々、
危険を冒し半殺しになると、
走馬燈のようにダンサーの
踊りが映し出される。
直接愛の言葉を言わずとも
観客の心に突き刺さる
この力強いメッセージに
感動を覚えるのが本当に魅力的だ。
自由な映像
そして、極めつけは
2010年代を代表とする
映像技法「スマートフォン」だ。
ドゥニアが仲間達と、
スマホで自撮りする
映像。
縦長で映像もぶれているのだが、
そこに思春期女子の自由で
荒ぶっている心情を
反映させ、尚且つ
クールに魅せているので
これは新しい映像の
教科書としても
見本といえる技術であろう。
NETFLIXのサムネイルデザインは
結構ダサくて食指が動かない
ことも多いだろう。
しかし、この「ディヴァイン」は
間違いなく傑作である。
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