異境の中の故郷(2013)
監督:大川景子
出演:リービ英雄、温又柔etc
評価:80点
今日紹介する映画は、
恐らくほとんどの人が観ることが
できない上に、リービ英雄という
人物によっぽど詳しくないと
面白くない作品だ。
なので、ここまで読んで
ピンとこなかったら
そっとページを閉じた方が良い。
というわけで
完全にブンブンの思い入れの
ある作品「異境の中の故郷」を
紹介していきます。
「異境の中の故郷」概要
リービ英雄、、、幼少期から
台湾、香港、アメリカ
と移住を繰り返し、
いつしか日本語で小説を
書くようになった男。
そんな数奇な人生を歩んだ彼が、
長年帰ろうとしなかった
場所があった。
それは台湾。
5歳児を過ごした台湾の
模範郷に52年ぶりに
訪れた彼は何を思うのかを
カメラは追った…
数奇な人生に引き込まれる…
本作はたった53分という短い作品だ。
カメラのピントは素人でも分かるほど、
乱れており、映像編集においても
決してスマートとは言えない。
おまけに、リービ英雄という
人物の背景をかなり知っていないと
飲み込みづらい内容となっており、
ドキュメンタリー映画としては
あまりいいとは言えない。
しかしながら、その不完全さが
ある種リービ英雄という人物を
象徴的に捉えていると言えよう。
彼は幼少期から台湾、香港、アメリカ
と転々し、大学時代には金を集めては
日本へ行き、万葉集等、日本の詩の
世界に引き込まれていった
(柿本人麻呂論で文学博士を
取っている)。
そしてやがて、日本語で小説を
書きたいと思うようになり、
中上健次の後ろ押しもあり
小説家となった。
つまり、常に曖昧な
アイデンティティーの
揺らぎの中で人生を
開拓してきた彼の人生は、
固定カメラで綺麗に収まる
わけがないのだ。
心の景色と現実の景色
世界が先進国を目指そうとする
現在、あらゆる古い家や建物が
壊され、ビルヂングになっていき、
他国と変わらない景色になりつつある。
リービ英雄も過去の記憶を頼りに、
マスターした中国語(彼は英語、
日本語はもちろん、
中国語、チベット語、
若干だが韓国語、フランス語も話せる)
で現地人にインタビューし
かつて暮らしていた模範郷を目指す。
かつて模範郷と呼ばれていた地区は、
ビルになっており、また
残っていたとしても廃墟同然となっていた。
リービ英雄の口から郷愁混じりに
語られる、52年前の台湾に、
一度もそこを訪れたことのない
ブンブンもノスタルジーを感じる。
また、最新の小説
「模範郷
」の背景も
本作を観ることでさらに
理解が深まった。
書斎が公開
さらに、よっぽどな
人出ないと立ち
入ることのできない
リービ英雄の書斎
も本作で観ることができる。
ブンブンは先日、
リービゼミの打ち上げで
彼の家にお邪魔したのだが、
その時と変わっていない場所、
変わっている場所を探すだけでも
非常に面白かった。
リービ英雄と大学1年生の
チュートリアルの授業で
出会ってから4年。
ブンブンもあの空間に入り、
彼の世界にどっぷり嵌まったと
思うと感動を覚えた。
つまりリービ英雄ファンムービー
つまり、私は本作に論理的な
評価をすることは出来ない。
とにかく、リービ英雄ファンとして、
これは非常に思い出深い一本であった。
ちなみに、本作を現在一般人が
観る方法は一つ。
32,400円する本作のDVDを
ネットで購入することである。
(「異境の中の故郷」販売ページ
)
法政大学国際文化学部の学生であれば
学部資料室にて借りることが
できるのだが、一般的には
観ることは不可能に近いです。
ただ、リービ英雄ファンは
是非挑戦してみてください。
涙なくして観られませんよ~
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