フィッシュマンの涙(2015)
Collective Invention(2015)
監督:クォン・オグァン
出演:イ・グァンス,
イ・チョニetc
評価:60点
今年のクリスマス、年末映画は
オオカミと女の情事や
ロマンポルノといった変な
映画が結構公開されている。
そんな中、先日映画友だちと
「フィッシュマンの涙」という
魚人間の映画を観てきました。
観終わった友人が一言、
「これは韓国版『何者
』では?」と。
確かにそうだ!
しかし、あの『何者』とは
比べものにならないほど
壮絶な作品でした。
「フィッシュマンの涙」あらすじ
突然変異で魚人間になってしまったパク・グを取材することになった
非正規雇用の報道官は
やがて陰謀に巻き込まれていく…
韓国社会の闇がてんこ盛り!
今や韓国は行き過ぎた競争社会で
日本以上に鬱病な国と成り果てて
しまっている。
小学校の頃から生徒の2/3は
塾に通い、都心の有名大学に
入らなければ、コネがなければ
大手企業に入れない。
入ったとしても30代までに
出世軌道に乗らなければ
クビにされるので、
大手企業に入ったとしても
デスロード。
そして呑ミニケーション
大国故に大手企業皆
電通さながらの過酷さが
待ち構えている社会だ。
そんな韓国の社会問題を
痛烈に皮肉った作品なので、
ただのゲテモノ映画と
思って観ると衝撃を受ける。
韓国版『何者』
まず言及しないといけないのが、
本作は就活映画だということ。
地方大学出身というだけで、
バカにされ屈辱を味わっている
青年が、運良くスト中のテレビ局に
潜入。
上司から「フィッシュマンの特ダネを
持ってきたら正式に採用してやる」
と言われ、あの手この手で
フィッシュマンを捕まえようとする。
まさに行き過ぎた競争社会故に
犯罪行為を犯してしまう様子も
描かれていて、これが面白い。
また、折角特ダネを持ってきても、
局内の人間に地方大学出身だと
分かった瞬間にフルボッコに遭う
様子なんか本当に怖かったりする。
STAP細胞問題と共通する政治問題
本作は学歴社会だけではなく、
政治的癒着や陰謀にも言及している。
フィッシュマンになってしまった男を
巡りジャーナリストが、医療機関を
攻めたてるのだが、
ひとたび韓国の利益になることが分かると
手の裏を返したように
フィッシュマン側を攻め始める。
そして一般市民がそれに
踊らされていくところが、
まさにSTAP細胞事件の小保方さんに対する
メディアと社会の反響に近いものを
感じる。メディアはコントロールされる
ことを痛烈に皮肉った描写だ。
面白い、でも惜しい!!!!
ただ、「フィッシュマンの涙」は
韓国に蔓延る問題を
欲張って全部皮肉ろうとしたが
為にストーリーが鈍重に
なってしまった。
学歴社会とジャーナリズムの問題を
同時に描こうとするあまりに、
92分の映画にも関わらず
体感時間が非常に
長く感じたのである。
非常に惜しい作品でした。
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