階段通りの人々(1994)
A Caixa(1994)
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、
ベアトリス・バタルダetc
もくじ
評価:90点
Facebookを見ていたら、
「映画遠足」というイベントを見つけ
たので参加してきました。
このイベントは既に40回以上
行われているそうで、
映画好き同士が集まって
映画を鑑賞し、その後
呑みに行くという
イベントらしい。
今回は川崎市市民ミュージアム
で上映中のマノエル・ド・オリヴェイラ
監督特集に行くという内容でした。
(9/10~9/25オリヴェイラ特集詳細
)
マノエル・ド・オリヴェイラといえば、
新藤兼人よりも長生きをした
ポルトガルの100歳越え監督です。
監督であり、
大学1年の頃、
「ポルトガル、ここに誕生すギマランイス歴史地区」
を観に行った際に、劇場でフランス語
授業の先生と遭遇したという
エピソードがあります。
またフランス留学中、
「クレーヴの奥方(1999)」を
図書館で借りて観たら、
ロックコンサートを
挿入する斬新な演出に
度肝を抜かれた記憶があります。
さて、前置きは長くなりましたが、
1本目「階段通りの人々」を
観ていきましょう。
※「階段通りの人々」は9/24(土)14:00より
川崎市市民ミュージアムで上映するので、
興味湧きましたら是非お越しください!
「階段通りの人々」あらすじ
リスボンの往復するのに30秒もかからないであろう階段を
舞台に、
盲目のおじさん、チンピラ、
豆売りなど貧しい人の
軋轢による悲劇を描く。
「どん底」を舞台化したような作品
本作は、階段を使って演劇タッチで
描いた作品だ。
まるで、スパイク・リーの
「ドゥ・ザ・ライト・シング
」の
世界観を凝縮したような、
あるいはゴーリキーの「どん底」
のような狭すぎるコミュニティ、
貧しき人々がひしめき合っている
様子を、巧みな「階段」捌きで
演出した作品である。
例えば、あるアメリカ人
観光客が
階段下で画家に絵を描いて
もらっているシーンがある。
階段上では、チンピラと
盲目おじさん一家が
言い争いをしている。
アメリカ人観光客が、
「まあ下品なこと!」
とあたかも自分は
関係ないよとアピールをする。
しかし、争いは激化し、
観光客の方まで喧嘩が及ぶ。
所謂、旅行客にとって
現地人は風景である
ということに対しての
皮肉が「階段」を使うことで
よく現れている描写である。
原題:A Caixaの意味
原題である、A Caixaとは
劇中で登場する、
盲目おじさんの物乞い
貯金箱のことだ。
劇中、チンピラや近所の
叔母さんがハイエナのごとく、
盲目おじさんの貯金箱を
狙う。
何もしていないのに、
金を稼ぐ盲目おじさんが
気にくわないのだ。
しかし、皆が狙っているので
抑止力が働いている。
それが、あることをきっかけ
に盗まれた時、バラバラバラと
階段通りの均衡が崩れていく
様が本当にお見事!
そして、どん底まで崩れた
時に階段で演出される
バレエシーンの
希望表現が本当に
素晴らしい。
本作を撮ったのが84とか
85歳の時。
つまり、今の山田洋次と
同い年だ。
85歳にして、ここまで
挑戦的な演出を
するとは、やはり
オリヴェイラすげーなと
感心せざるを得ない
作品でした。
おまけ:「アンジェリカの微笑み」、
「ブロンド少女は過激に美しく」DVD&Blu-Ray
9/21発売
昨年、話題になったオリヴェイラの渾身の作品「アンジェリカの微笑み
」と、
晩年の作品「ブロンド少女は過激に美しく」
のDVDとBlu-Rayが9/21(水)に
Amazon他にて発売とのこと。
9/21といえば、ブンブンが映画オタクデビューした
日ではないか!
買おうかどうか迷うブンブンでしたw
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