君の名は 第1部(1953)
監督:大庭秀雄
出演:佐田啓二、岸惠子、
淡島千景、笠智衆、
小林トシ子etc
評価:70点
巷で大ヒットしている新海誠作品「君の名は。」
その半世紀以上前、
1953年にも日本で
ほとんど同名の作品が
作られ、社会現象になるほど
ヒットしたことを知っているだろうか?
1953~1954年に作られた
「君の名は」三部作は、
NHK連続ドラマの映画化で、
主題歌だけでなく、
岸惠子扮するヒロインの
ファッション真知子巻きも
流行した作品である。
興行収入でも
第一部、二部が
ランキング1位、2位を
押さえ、翌年に公開された
第三部も「七人の侍」を
差し置いて興行収入1位を
押さえた功績を持つ。
そんな、半世紀以上前の
「君の名は」三部作を、
この度一気観したので、
リポートしていくぞ!
「君の名は」あらすじ
実は「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リー
主演「哀愁(Waterloo Bridge,1940)」の
リメイク。
ウォータールー橋を数寄屋橋に変えている。
東京大空襲中に出会った
氏家真知子と後宮春樹。
命からがら逃げ切った二人は、
何かの縁を感じ、
半年後の11月24日に
数寄屋橋で会うことを約束する。
しかし、運悪く半年後二人は
出会うことが出来なかった…
それから1年後、
二人は再会するが、
真知子の嫁入り前日で…
とにかくオールキャスト!
本作は、今となっては映画史を
語る上で欠かせないキャストが勢揃いの
作品だ。
岸惠子を始め、佐田啓二、
淡島千景、笠智衆、
小林トシ子と本当にガチ
キャスト。
本当に女優さんの動きが、
「雅」を想起させる美しい
振る舞い、男子キャストの
優しさがにじみ出る演技が
味わい深い。
そして、驚いたことに
第一部最大の見せ場である
東京大空襲のシーンは
円谷英二さんが手がけているのだ。
この東京大空襲シーンの
ドキュメンタリーを見ている
ようなリアル過ぎるセットと
業火にはスゲーとお口
あんぐりでした。
こんなのが面白くないわけが
ない!
意外と「君の名は。」と通じる内容
内容面でいうと、意外と新海誠版
「君の名は。」のテーマとも
重なるところがある。
新海版では、2人の高校生が、
入れ替わりやスマホといった
現象や道具でコミュニケーションを
図るが、実際に会おうとすると
なかなか会えない。
結ばれようとしてもなかなか
結ばれないもどかしさ、
言わば「近くて遠い恋愛」が描かれている
ことだ。
1953年版の「君の名は」もまさに、
「近くて遠い」恋愛が描かれているのだ。
意外と、すぐに
氏家真知子と後宮春樹は再開する。
しかし、真知子はお嫁に行ってしまう。
本当は春樹のことが好きなんだけれど、
夫がいるから夫に愛を尽くそうとするが
どうしても忘れられない。
一方、春樹も戦後サラリーマンになる
ものの、真知子のことが忘れられず
業務どころじゃない。
半年後に再会していればという
苦悩が二人を襲う。
この切なさが本当に半端ない!
当時スマホやSNSなんて
なかったことを考えると、
しょうがないんだけれども、
観ていて切なくなってしまう。
意外と第一部で、キレイに
悲劇として完結するように
なっているので、
「三部作合計6時間観るのは辛い」
と思った方でも、気楽に
楽しめる作品です。
是非、新海誠監督の
「君の名は。」を気に入った方は
真知子巻きTHEムービーの
方の「君の名は」に挑戦してみてください。
関連項目
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