ボーダーライン(2015)
SICARIO(2015)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、
ベニチオ・デル・トロ、
ジョシュ・ブローリンetc
評価:85点
2000年代以降、アメリカとメキシコ
での国境線で麻薬戦争が激化し、
もはや警察も機能しないほど
腐敗している。
先日紹介したドキュメンタリー
「皆殺しのバラッド
」なんかを
観ると、麻薬を牛耳るギャングは
大手企業のようにスーツを
着用、しっかりとした
オフィスも携えているので
見分けもつかなくなっていて
それがまた怖い。
そんなメキシコの危険すぎる
情勢を「灼熱の魂」
「複製された男」「プリズナーズ」
で映画人から注目、
「ブレードランナー」の続編
製作にも抜擢された
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が
挑んだ!
その名は「ボーダーライン」。
原題はメキシコの言葉で
暗殺者を示す「SICARIO」である。
さていかがなものか…?
「ボーダーライン」あらすじ
アメリカとメキシコの国境付近で悪と戦うFBI女性捜査官ケイト。
ある日、特別部隊に引き抜かれた
彼女は恐ろしい光景を目にする。
それは法を破り、
メキシコに出向いて麻薬カルテルを
撲滅していること。
しかもそのやり方が、
カルテルのボスを誘拐して
メキシコの秩序を乱し
壊滅させる極悪非道な方法だった。
悪を倒すために悪に染まっている
特別捜査チームのやり方に
納得のいかない彼女は苦悩するのだった…
「ゼロ・ダーク・サーティ」を超える傑作!
本作を観てぴんと思った方は3年前の「ゼロ・ダーク・サーティ」を
思い出したことでしょう。
仲間をテロで失った女性が復讐に
燃え、オサマ・ビン・ラディン殺害作戦に講じる。
あの作品は、かなり脚本運びが
事件に関する資料が少なかったこともあり
鈍重になっていた。
鈍重な脚本と言えばドゥニ監督の
弱点でもあるが、それを見事に
克服してみせている。
はっきりと、女性捜査官ケイトと
デルトロ、ブローリン扮する
凄腕捜査官の立ち位置を分け
山場ごとにしっかり
切り替えを行って
メリハリのある
ストーリー運びをしている。
それに加えて、
常に後ろで流れる
心臓の鼓動のような
音に積極的に
用いられるFPS視点。
これによって、
観客も「メキシコ」
という地獄の当事者に
ならざる負えなくなる。
特に終盤訪れる
麻薬輸送ルートの
トンネル襲撃シーンは
めちゃくちゃ怖い。
こんな現場で働きたくないな
と思った。
慈悲もなにもない暴力
本作は拷問、銃撃シーンが
相当えぐいです。
救いも何も魅せずに、
とにかく警察官は
容疑者を殴る蹴る、
銃で撃つのだ。
目には目を歯には歯を
の如く、尚且つ
やられるまえに殺る
のだ。
本作は「コール・オブ・デューティ」
みたいな戦争ゲーム好きには
たまらない描写が
沢山出てくるがその娯楽性と
同時にずっしりくる汚職・
腐敗の構造も見えてくる
傑作でした。
こうなるとドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の
次回作「ブレードランナー」は楽しみだな~
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