太陽がいっぱい(PLEIN SOLEIL)
監督:ルネ・クレマン
出演:アラン・ドロン、マリー・ラフォレ、
モーリス・ロネetc
評価:80点
今、アメリカではアカデミー賞前哨戦
で熾烈な戦いが繰り広げられている。
主要部門で現在「キャロル」がトロントや
NY批評家賞と次々と受賞&大量ノミネートを
果たし、「マッド・マックス/怒りのデス・ロード」
や教会の暗部にジャーナリストが迫った骨太な
実録ドラマ「スポットライト」といった
強豪を出し抜きまくっている。
今回予習で本作の原作者パトリシア・ハイスミス
の別の小説を映画化した「太陽がいっぱい」を
紹介するぞ!
実は中学3年生の時に観て、
20分ぐらいで爆睡した映画です…
貧乏人の憧れ
何故、中学生の時この作品がつまらないと感じたのかと言うと、難解だったからだ。
しかし、本作はヨーロッパ映画特有の撮り方を
知っていると分かりやすい。
アメリカ映画は、人物紹介のパートを冒頭に挿入し、
世界観を創り上げるのに対し、ヨーロッパ映画は
出来上がっている世界観の上で人物を動かす
真逆の作り方をする傾向にある。
なので、本作はいきなり美男子二人組が
遊び狂うシーンをずっと魅せられて
物語の本質がなかなか見えてこないので
慣れてないと結構キツい作品と言える。
しかし、この理屈が分かると本質が見えてくる。
主人公のリプリーは所謂チンピラだ。
金持ちの息子をアメリカに引き戻して
おじさんから謝礼金を頂こうというヤクザな
ミッション遂行中でボンボン息子と行動中。
物語はボンボン息子とのイタリア旅行から始まる。
もうこの段階から、リプリーはボンボン息子に
憧れ、彼になりたいと羨望している。
ボンボン息子の服を漁り試着したり、
鏡に接吻をする。ボンボン息子が中々、
アメリカに帰ってくれない憤りと
ボンボン息子を自分に重ねようと
していくうちに芽生える嫉妬から彼を殺してしまう。
んで、リプリーはボンボン息子になりすまして、
サインの描き方まで真似しなんとかして
フィリップになりきり富豪になろうとする。
憧れの人になろうとしてなれない悶々と、
バレるかバレないかサスペンス、
強奪もののスリリングが
気取ったフランス語・イタリア語で包まれていて
今観ると心地よい。面白い。
結構リプリーがこれまた間抜けで、
銀行にて大金を下ろす際、メッチャ挙動不審だったり、
人を殺した時の死体をあまりにも大胆に
運ぶもんだから、「こいつ大丈夫」かと
ハラハラさせられる。
そして、ラスト笑顔で歩み寄る
アランドロンのクールだが
残念すぎるエンディングが
これまた綺麗でオシャンティなサスペンスとして
申し分ないクオリティでした!
中学生の時や高校生の時に観た作品も
今観ると、違った見え方がするな~
パトリシア・ハイスミス小説の映画
「キャロル」「太陽がいっぱい」の
原作者であるパトリシア・ハイスミスの
作品は沢山映画化されている。
下記に予告編を貼ったので「キャロル」
公開に合わせ観てみてはどうだろう?
「見知らぬ乗客」ヒッチコック映画です↓
「アメリカの友人」Ripley’s Gameの映画化↓
「ギリシャに消えた嘘」The Two Faces of Januaryの映画化↓
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