牡蠣工場(OYSTER FACTORY)
監督:想田和弘
評価:75点
皆さん、観察映画ってご存じだろうか?
日本を代表するドキュメンタリー作家
想田和弘が編み出した映画ジャンルであり、
ドキュメンタリーなんだけれど一切の
解説を抜きに淡々と対象者を追う
手法である。
2005年に川崎市議会議員補欠選挙立候補者
である山内和彦に密着した「選挙」
精神病棟の患者及び職員に迫った
「精神」などがある。
今回、観察映画第6弾として作られたのが
瀬戸内市牛窓の牡蠣工場を舞台に、
東日本大震災による原発被害で
避難してきた男と仲間達、
そして中国人労働者との関係を
観察した「牡蠣工場」である。
美味しいカキの裏側にある負のオーラ
ブンブンも大好きな牡蠣。
レモン汁を入れてすすっと
吸い込むのが好みです。
しかし、今の日本の水産が危機に立たされている。
TPPもしかり、そもそも農業や水産業は
若者に人気が無く跡継ぎがいない。
困窮するこの業界において日本人を
雇うことは人件費が高すぎる。
そこで、仕方なしに中国人を雇い始める。
出稼ぎ労働者且つ技術も持ち合わせて
いないので、一人雇うのに研修費用
入れたら15万円かかる。
しかしながら、あまりの単純作業と激務に
耐えきれず数日で辞めてしまう中国人が
ざらにいる。経営者として赤字である。
観ていると、とことん絶望しかないことに
気がつく。震災から避難してきた男
からも哀愁がするし、
出稼ぎ労働者の中国人は日本語が
上手くない。
グローバル化に適応するべく、
中国人を雇うが、日本式終身雇用、
じっくり人材を育て上げる人事は
通用しない。
2時間半ぐらいの時間にここまで
負のオーラが漂っていて辛いのだが、
同時に日本全体が抱える問題も
見えてくる。
近年外国人労働者を雇うムードが増えているが、
新しい問題として離職率があるようだ。
日本のように育て上げるスタイルは通用しない。
今の会社よりも好条件があれば、すぐに
飛びつく。会社に愛はない。
さて、日本はグローバル化グローバル化
と言うが、果たして本当に外国人を
理解しているのだろうか?
2020年の東京オリンピックに向けて
英語教育を強化する。
外国人オペレーターを雇うとか
考えているが、「国際コミュニケーション力」
を養うことを忘れていないか。
本作で考えさせられた。
そんな「牡蠣工場」日本では、
2016年2月に公開である。
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