“Ç”美青年は変人家庭で発狂!「コスモス」TIFFワールド・フォーカス部門

コスモス(COSMOS)

コスモス 東京国際映画祭

監督:アンジェイ・ズラウスキ
出演:ジョナサン・ジュネ

評価:30点

アンジェイ・ワイダの助監督として
知られているポーランドの映画監督
アンジェイ・ズラウスキが
映像化不可能と言われていた
ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ
アヴァンギャルド小説を映画化。

実は監督は「女写真家ソフィー」以来
15年ぶりの新作である。
形而上コメディ?何それ?とりあえず覗いてみよう。

「女写真家ソフィー」予告編

代表作「ポゼッション」予告編

ひとまず「コスモス」あらすじ

試験勉強のためポルトガルの民宿に友だちとやってきた青年。
しかし、裏道に首を吊ったスズメがあったり、女中は唇が捻れていたり、
何かがおかしい。しかしながら、青年は民宿の娘のことが
好きになってしまい、頭のおかしい家族と世にも奇妙な
生活を始める…

フレンチ引用ムービー

会場の日本人は唖然とした。
Q&Aで誰も手を挙げないぐらい。
というのも、この作品はフランスお得意の
引用をモザイクのように展開し
不条理を究めさせた作品だからだ。

サルトルの「嘔吐」、カール・テオドール・ドライヤー、
パゾリーニの「テレオマ」
と様々なヒントを
与えるが、多くの人は一つも読んでいない、
観ていないからついていけない。

かといってゴダールのように
映像が超絶格好いいわけでもないから
とにかく体感時間が長いこと長いこと。

狭いコミュニティーが外界からの
刺激を受けて発狂崩壊する
話なんだろうな。
だから似たような話の
「テレオマ」を引用しているんだろうな
と思うのだが、それだったら
あんまりクールな引用とは言いがたい。
直接的過ぎるからだ。

ラストのフリーメイソン
マークも政治的メッセージを
表すにも、他の普遍的ことを
語るにも不自然で
やっぱり上手い引用とは
思えないな~と思って
耐えながら観ていました。

フランス留学時代が懐かしい

ふと似た経験をしたのを思い出した。
フランス留学中アンジェ映画祭で
ベルトラン・ブリエの「料理は冷たくして」
という作品を観た。

これも似た感じの不条理劇で、
ブンブンには厳しいものを
感じたが、なんと観客の多くは
学生で、劇中爆笑、
そしてエンドロール時には
大拍手まで巻き起こった。

恐らく、これはヨーロッパ圏の
人々と日本人の文化的
意識差によるものなんだなーと感じた。

アメリカやイギリスでは台詞の引用で
人々の心情等語らせるが、
フランスでは固有名詞で語らせる。

なんかそう聞くと格好いいが、
暗号鍵のようにその固有名詞を
使われると観客としては困ってしまう。
時分の造詣の深さが見透かされている
ようであんまり好きじゃない。
だから、映像の格好良さは
必要だなと思った。

とはいえ、映像化不可能に
挑戦した監督に拍手である。
ジョナサン・ジュネ

主演のジョナサン・ジュネさんからサインと
写真を頂きました。29歳のイケメンでしたぞ~

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