“Ç”「Leviathan」日本公開記念。ズビャギンツェフデビュー作「父、帰る」

「Leviathan」が「裁かれるは善人のみ」って邦題で公開決定!

裁かれるは善人のみ

カンヌ映画祭で脚本賞を受賞、
ゴールデングローブ賞外国語映画賞を制したロシア映画
「Leviathan(Левиафан)」が「裁かれるは善人のみ」って邦題で
10/31より新宿武蔵野館他で公開する。

どんなに忙しいときでも神父を呼んでミサを行う
程敬虔な市長が金儲けをしようとするあまり、
地元を愛する市民を追い出そうと試みる
シリアスドラマだ!
ブンブンはフランス留学中に観たが、
教会までも味方につけた市長VS市民の
悲しいバトル。美しい映像美が故に
残酷ですんげー作品だったぞ~

父、帰る(Возвращение)

父、帰る

監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:イワン・ドブロヌラヴォフ、
ウラジーミル・ガーリン。

評価:85点

そんな映画を撮った、アンドレイ・ズビャギンツェフ
(キリル文字だと結構簡単に読めるが、
カタカナだとめっちゃ読みづらい…)
監督デビュー作「父、帰る」を紹介するぞ~

この作品は、ロシア語初心者の人にオススメ
な作品で、結構ゆっくりしゃべるから
単語が聞き取りやすい。

タイトルのВозвращениеからしてロシア語で「復帰」
って単語で、возвращатьで「帰る」という
動詞になる基本単語だ。
ロシア語初心者のブンブン、親近感わきます。

謎の父、帰る

この話は、父が12年ぶりに家に帰るところから始まる。

12年間何をしていたのか、それ以前に父がどんな人かも
知らない息子たち。父は突然息子たちを連れて
バカンスに連れて行くと言う。
父からの愛情を得ようとする長男に
対し、あまりに高圧的な父親
に次男は不満を募らせていく…

高度なエディプスコンプレックスもの

あらすじを読むと、ぴんと来る人は
「エディプス・コンプレックス」の話だと
気づくだろう。

もちろん、そうなのだが、デビュー作とは
思えない高度な仕掛けがこの「父、帰る」
に施されている。

冒頭、友だちと湖飛び込むシーンがある。
長男も次男も飛び込みは怖い。
長男はイジメを恐れ飛び込むが、
次男は飛び込まず、いじめられる。
明らかに長男が強くて次男が弱い
ってイメージを観客に焼き付ける
のだが、バカンスシーンが始まると一変。

長男は常に父の顔色をうかがう弱い者
として描き、次男は逆境に立ち向かう強い者
として描かれているのだ。

そう考えると、この話における
「父」が分かってくる。実は、全編通して
全く「父は12年間何をしたのか?」
「父は何故バカンスに子どもたちを
変なところに連れ回したのか」が語られていない。

しかし上記の構造を意識すると、
越えねばならない壁をどう乗り越えるか
が重要だと思うと共に「弟」の成長に
強烈なフォーカス当てていることが分かる。

一回目の弟の逃げは或る種、
意志の強い選択。
いじめられるのが怖いから
湖に飛び込む長男とは
違った意思を持っているのだが、
結局いじめられ逃げてしまう弱さを持っている。

それが、高圧的な父親に立ち向かい
ラストにあんなシーンを入れることで
「エディプス・コンプレックス」に
打ち勝った瞬間を表現している。

全編通して、いやーなバカンスが
映し出される。しかし、父親から
漂うほのかな哀愁と綺麗な風景に
胸を打たれる作品でした。

↑ズビャギンツェフの「エレナの惑い」「ヴェラの祈り」
DVD&ブルーレイは11/27発売!

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