ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌(ONE PLUS ONE)
監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:ザ・ローリング・ストーンズ
評価:65点
映画人は誰しも音楽アーティストを
撮りたい願望を持っているらしい。
ヴィム・ヴェンダースは
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを
デヴィッド・リンチはデュラン・デュラン
を撮った。
マーティン・スコセッシだって
ザ・ローリング・ストーンズを撮った。
しかし!スコセッシなら分かるが…
ゴダールがストーンズを撮っていた
なんて驚きである(*^_^*)
あんなひねくれた監督が、
ストーンズを撮ったら
どうなるのか、
今回調査してみた…
ゴダール節炸裂
ゴダールの映画と言えば、
文学や映画のタイトル・台詞の
引用を多用し、モザイクを作り上げて
メッセージ化する技法を得意とする
監督である。
それ故に、ドキュメンタリー映画なのに
フィクション的で正直よく分からない
映画となっている。
「悪魔を憐れむ歌」を収録するストーンズを
淡々と映し出す。
ブライアン・ジョーンズもいるが、
メンバーとの不協和音感も何もなく
ただ、淡々と音合わせしているだけ。
(まあ、不穏な雰囲気は漂うが…)
音楽ドキュメンタリーにあるまじき、
テレビの音量をめっちゃ上げないと
音楽が聞こえない意地悪設定である。
そうこうしているうちに、急に画面が変わり、
普段のゴダール映画が始まる。
色んな主義や名称を、次々と
断片的に繰り出す。
どうやら、ベトナム戦争や黒人解放闘争、
フランスでも5月革命が起きており
荒れ狂って退廃している世界を
揶揄している印象を受ける。
音楽ドキュメンタリーなのに、
ここには退廃しかない…
ってそもそも、ゴダールは製作以前に
ストーンズのことを知らなかったのだ。
ビートルズのドキュメンタリーが
撮れなかったからストーンズにしただけ
という愛なきドキュメンタリーなのである。
だから、楽曲も「悪魔を憐れむ歌」を
選んだのは偶然ってわけだ。
ロック・オブ・エイジを直前を移す
確かに、ファン的には怒りかねない
酷い作りをしているドキュメンタリーなのだが
じっくり観ていくと、爆発しそうな
音楽革命が見え隠れする。
この作品が撮られたのは1968年だが、
公開した1969年はロック史に
おいてもストーンズ史においても
伝説過ぎる年だった!
まず、6月にストーンズのメンバーである
ブライアン・ジョーンズが脱退。
8月の15日から17日にかけて、
まるで被災地的状況になった音楽フェスティバル
「ウッドストック’69」が開幕。
そして、冬…事件は起きた。
「ウッドストック」のドキュメンタリーが
作られていることに対抗して、
ストーンズは自身のツアーを
ドキュメンタリー映画化しようとするが、
ツアー中に暴動事件が発生!
「オルタモントの悲劇」が起きてしまう。
偶然行き着き、作った作品
からにじみ出てくる不穏な空気。
忍び寄る事件の影。
音楽ドキュメンタリーとしては
どうかとは思うが、
1968~1969年の様子を
知るにはベストすぎる
キセキの一本と言えよう。
↑「Woodstock」予告編ジミヘンが超絶かっこいいぞ!!
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