震える舌
監督:野村芳太郎
出演:渡瀬恒彦、十朱幸代、若命真裕子etc
評価:90点
この時期、大学では秋の留学に向けた準備で
学生のテンションはアゲアゲっ絶頂期!
しかし、浮かれるあまりに肝心な手紙を
見過ごすと大変な事になる。
留学する人は見たことあるだろう
「破傷風予防注射のお知らせ」。
これをちゃんとやらないと、
ヤバいことになることが
今回紹介する「震える舌」を観ると
よくわかるぞー
少女、破傷風になりけり
この話は、少女が泥遊びをするところ
から始まる。
高度経済成長期を思わせる、
いかにもくすんだ風景の下で
少女は泥遊びをする。
バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調」
の軽やかなメロディとは裏腹に、
ヤバいフラグ立ちまくりの泥描写。
ある日、少女は飯を食わなくなる。
歩かなくなる…病院に連れてっても
何もヒントを得られない…そして…
「ヴぁあア~~~~」
と真夜中、雄叫びをあげ、
口元血だらけに…
そこでようやく、少女が
レア且つ危険な病「破傷風」
に冒されていることがわかる。
究極のホラーは人間の心…
ここまで聞くと、
医療サスペンスかなと思うが、
これはれっきとしたホラー
の側面を持ち合わせている。
監督の腕あってメチャクチャ怖い。
まず、前半。
フラグをやたらと立てるのに、
まったく病名を医者は語らない。
とにかく焦らしまくる。
観客は「少女に何が起きたのか?」
と病名に興味を持つが、
意地悪なことに、何度も
風に巻く。観客も、主人公の
ようにフラストレーション
溜まりまくります。
んで、「破傷風」と分かると
別次元の恐怖が襲ってくる。
レアな病気の為、医者も治療方法
に自信がない。そうなると、
少女の両親は
「自分たちも感染しているのでは?」
と疑心暗鬼になる。
そして、少女は少しの刺激で
エクソシストもビックリなほど
暴れ回る(若命真裕子の迫真の演技に注目!)。
だから、隣の部屋の悪ガキどもが何を
し出すかという緊張感がヒシヒシと伝わってくる。
そして黒澤明も得意としていた、
恐怖のシーンに真逆の要素を持ってくる技を
多用し観客をカオスの世界に誘う。
ヴァイオリンの美しい旋律すら恐怖になる…
「砂の器」でも曲の使い方が上手かったが、
ここでも野村監督の技量がキラリと光ってる…
怖ー。
破傷風って怖いね
一級のホラーだが、どんなに少女が
血まみれでも素手で治療する医者たちの
描写。破傷風は人同士、感染しないとはいっても
じかに人工呼吸する描写は、
流石にあり得ない、詰めが甘いなと
思ったが、そんなのを吹き飛ばすぐらい
トラウマになる。すげーなと思う。
これを観たら誰でもちゃんと
予防注射しないとなと思わせられるよw
ってことで留学行く人は、
ちゃんと予防注射しときましょうw
コメントを残す