昔々、アナトリアで(BIR ZAMANLAR ANADOLU’DA)
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
出演:ムハンメト・ウズネル、イルマズ・アルドアンetc
カンヌ映画祭やベルリン映画祭の常連なんだけれども、
日本では全く劇場公開されずDVDも作られていない、
哀しいトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン作品が、
昨年パルムドールを獲った「雪の轍」公開に合わせて
DVD化!!
「昔々、アナトリアで」を観られる日がついにやって来ました(*^_^*)
留学を通じて、ブンブン日本では注目されない巨匠を発掘。
アリーチェ・ロルヴァケル、アブデラマン・シサコ、
そしてヌリ・ビルゲ・ジェイラン。意外といます。
ミステリーに思わせて…
さて、カンヌ映画祭でグランプリを獲った
この作品を解説するとしよう。
なんと、この映画一見するとミステリーに
見えるのだが、「謎解き」を一切しません(えっ?
パトカーで男が輸送されるところから物語は始まる。
どうやら、男は酔っ払った勢いで誰かを殺してしまい、
荒野のどこかに埋めたらしい。
警察は、なんとしてでも遺体を回収しようと
男を連れ回しているらしい。
しかし、劇中ほとんどが雑談。
尋問でヒントが出てくる訳もなく、
登場人物の雑談から
彼らの貧しい生活状況、カースト、
社会問題が浮かび上がってくる仕組みだ。
実に間抜けなコメディー
「雪の轍」もそうだが、一見すると
硬派な話に見えて、随所にギャグを
ぶち込んでくる。
例えば、遺体が発見されてその顔を
見た警察がある俳優に似ていると言う。
しかし、似てね~ww
んで、部下が「あなたの方が似てますよ」
と言うのだが、益々似てない。
他にも、警察が間抜けなことを
連発しまくり爆笑を呼ぶ、
そもそも何時間も犯人連れ回して
盥回しにされていること事態
爆笑なんだが…
ユルマズ・ギュネイとの違い
トルコ映画の巨匠と言えば、
刑務所にいる時でも映画を作り上げてしまう
ユルマズ・ギュネイを思い浮かべるが、
彼に比べると明らかにコメディー寄りの作家
なのかな~。社会問題、貧困を長回し、
眠くなるようなショットで扱いつつも
随所にトンデモギャグをかますことで
観客を寝かせない。
ある意味良心的な監督と言えよう。
奥深い作品でした。
「昔々、アナトリアで」予告編
関連項目
コメントを残す