ジャック・リヴェット

2021映画

ジャック・リヴェット『ジャンヌ』2部作:男装という鎧

ブリュノ・デュモンのジャンヌ・ダルク映画『ジャネット』、『ジャンヌ』公開に併せ、ジャック・リヴェットの『ジャンヌ/愛と自由の天使』、『ジャンヌ/薔薇の十字架』を観た。ジャンヌ・ダルク最期の地であるルーアンで生まれたジャック・リヴェットは、長編デビュー作『パリはわれらのもの』でシャルル・ペギーの「Paris n’appartient à personne(パリは誰のものでもない)」という言葉を引用していることから、彼がジャンヌ・ダルク映画を撮ることは宿命だったといえる。ジャンヌ・ダルクは、ジョルジュ・メリエスに始まり、カール・テオドア・ドライヤー、ロベール・ブレッソン、リュック・ベッソンと様々な監督によって映画化されてきた。ジャック・リヴェットが放ったジャンヌ・ダルク映画は、神聖化された彼女を民話に落とし込むことによって普遍的な男性に抑圧される女性像を告発したものであった。