【ネタバレ考察】『ONODA 一万夜を越えて』忠誠という名の信仰
第74回カンヌ国際映画祭ある視点部門で一本の作品が話題となった。それは『ONODA 一万夜を越えて』だ。ある世代の人はこのタイトルを聞いてピンと来るのだとか。あの小野田寛郎のことかと。自分は不勉強ながら、この映画で初めて彼のことを知ったのだが、彼の半生を映画化するのはあまりに危険だということは明白だった。アジア・太平洋戦争後30年近くフィリピン・ルバング島に潜伏し、終戦したことを信じず多数の現地人を殺害しているのだから。一人の人間の力強い生き様を描いただけでは炎上不可避である。また、監督はフランス出身のアルチュール・アラリである。外国人が日本とフィリピンとの関係、強いては日本軍のある種カルト教団的体制を捉えることができるのだろうか?最近だと『MINAMATA-ミナマタ-』の例があるだけに不安しかなかったのですが、杞憂でした。尚、ネタバレ記事です。