フレデリック・ワイズマン

2021映画

【CPH:DOX】『ボストン市庁舎』ワイズマンが贈る崩壊する民主主義への処方箋

ブルータリスト建築の無骨なボストン市庁舎に始まり、ボストンの街のどこかドライな建築を巧みに挿入しながら、都市から政治、市民へと微分を重ねていくことで人の営みの重要な要素を抽出していく。マーティ・ウォルシュ市長は、限られた予算の中でボストンの中にある様々な問題を解決しようとしている。癌やアルコール中毒といった厳しい境遇を乗り越えてきた彼は対話を重視しており、労働者やマイノリティ、韓国系、プエルトリコ系といった人種のコミュニティとの議論の場を設けて傾聴する。看護師のストライキ会場にも足を運ぶ。障がい者支援団体に訪問した際には、自らエプロンを身につけ、給仕を行ったりしている。さらには大麻薬局のオーナーにすら議論の場が設けられていたりするのだ。