ペリカン・ブルー 自由への切符(チケット)(2023)
Kék Pelikan
監督:ラースロー・チャーキ
出演:ノルマン・レーヴァイ、コルネール・テジ、アーゴシュトン・ケネーズetc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
2025年の新潟国際アニメーション映画祭にて上映された『ペリカン・ブルー』がまさかの一般公開。ということで夜勤明けにヒューマントラストシネマ渋谷にて観てきた。これが想像以上に面白い一本であった。
『ペリカン・ブルー 自由への切符(チケット)』あらすじ
東欧ハンガリーで1990年代に起きた驚きの実話を、ドキュメンタリー素材を盛り込みながら映像化したアニメーション映画。
「鉄のカーテン」が崩壊し、西ヨーロッパへの扉が開かれた1990年代のハンガリー。海外旅行が自由化され、多くの人々が外の世界へ目を向けるようになるが、国際列車の切符は高額で庶民には手が届かない。そんな中、頭脳派のアコシュ、大胆不敵なペーチャ、泳ぐことが大好きなラチの若者3人組は、切符を偽造する方法を見つける。切符に使用されているペリカン社製の青いカーボンインク「ペリカン・ブルー」を家庭用洗剤で溶かし、行き先を書き換えるのだ。偽造切符で海外旅行を満喫した彼らは、同じような境遇の若者たちに“自由へのチケット”を配ることを決意。計画は順調に見えたが、やがて警察の捜査が始まり、国家を揺るがす大騒動へと発展していく。
独特なアニメーション表現に定評のあるラースロー・チャーキ監督が、10年にわたる綿密なリサーチを行い、記録映像やインタビュー音声といったドキュメンタリー素材と手描きアニメーションを融合させて描き出す。
アニメドキュメンタリーの可能性
本作は90年代からゼロ年代にかけてハンガリーで行われた鉄道切符偽造事件の当事者にインタビューしたドキュメンタリーとなっている。本作の最大の特徴はアニメと実写の融合によって描かれている点にある。『戦場でワルツを』をはじめとするアニメドキュメンタリーは、現地で撮影することの難しい事象に対して証言を基に再構成していく手法としてアニメが採用されている。本作では、恐らく当事者のプライバシー保護を理由にアニメが使用されている。しかし、彼らのアクションをアニメという虚構から現実のものへ近づけるために、随所に実写を織り交ぜる。この実写は溶剤であったり、新聞紙などといったアイテムに適用される。90年代当時のアーカイブなのか90年代風に再現したものなのか曖昧な質感が鑑賞者の好奇心を刺激するものとなっている。そして、映画は修羅場ものとして面白い。最初こそ、若気の至り、個人利用でチケットを偽造していたわけだが、知り合いにバレたことで他人のために作ることとなる。利用人数が増えるほど捕まるリスクが高まるので、チケットのありがたみを与えるために料金を設定したり、作り方は教えなかったりとしたり顔で作戦を敢行していくのだが、フィルムノワールのプロット、運命に抗うことができず窮地へと落ちていく。あまりにも鮮やかでスリリングなドラマに魅了されたのであった。










