家路(2001)
JE RENTRE A LA MAISON
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ミシェル・ピコリ、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ、アントワーヌ・シャピーetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
マノエル・ド・オリヴェイラの4KレストアBOXが発売されたので入手した。『家路』はカイエ・デュ・シネマベストに選出されている一方で未観だったのでようやく鑑賞することができた。
『家路』あらすじ
年老いた名舞台俳優ヴァランス(ミシェル・ピコリ)は、ある日突然の事故で妻と娘と娘婿の3人を亡くす。しかし絶望にひたる時間もなく、残された孫セルジュ(ジャン・ケルトジャン)との新しい生活が始まった。そんな時、エージェントのジョルジュ(アントワーヌ・シャペー)から、テレビ映画の主演の話を持ち掛けられる。が、流行のセックス、ドラッグ、暴力が満載の内容にヴァランスは激怒。淡々とした生活を続ける彼に、今度はアメリカ人映画監督のクロフォード(ジョン・マルコヴィッチ)から急遽出演オファーが舞い込む。作品はジェームズ・ジョイス原作の「ユリシーズ」。小さな役の代役で、しかも英語作品という条件に少し躊躇したヴァランスだったが、結局引き受けることに。だが撮影が始まると、どうも彼の調子が良くない。そして次の撮影日、今回はすべてが順調に進むかに見えた。しかしヴァランスは突然スタジオから立ち去り、そのまま家に帰ってしまうのだった。
スペクタクルの外側で
映画は舞台劇から始まる。長い劇のパートが終わると老優ジルベールの前に家族の訃報が知らされる。そして遺された孫息子との日々が展開される。映画は物語の外側にある日常を映していくのだが、舞台パートと明確に演出を違えている。舞台では役者たちが大げさに演技をし、内面を吐露していく。対して日常パートはサイレント映画に近い程に台詞が抑えられている。日常におけるスペクタクルは家族の死に留まり、老優に死の予感を与えながらも映画はそれを拒絶していく。この構造の中で、彼に低俗なドラマシリーズの依頼が舞い込んでくる。そして彼は拒絶する。映画というスペクタクル、舞台というスペクタクルを中心に置きながら、スペクタクルを拒絶し余生を過ごそうとする様はオリヴェイラにしては意外な演出に思えた。なぜなら『家路』『永遠の語らい』『ブロンド少女は過激に美しく』とオリヴェイラの作品は晩年に行くに従って超展開、スペクタクル的な結末を迎えるからだ。これが遺作だと考えてもおかしくない程に老境の一本であった。










