『閉ざされたカーテン』フレームの外側にある政治

閉ざされたカーテン(2013)
Closed Curtain

監督:ジャファル・パナヒ
出演:カンブジア・パルトヴィ、Maryam Moqadam、ジャファル・パナヒ、Hadi Saeedi、アゼード・トラビ、Abolghasem Sobhani etc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

MUBIでジャファル・パナヒ特集が行われているので『閉ざされたカーテン』を観た。これがパナヒの中ではトップクラスに面白かった。

『閉ざされたカーテン』あらすじ

カスピ海沿岸の別荘で一人の作家が執筆活動を行っている。別荘には愛犬がいるだけだ。そこに一組の男女が訪ねてくる。兄妹であるというその二人は、政府当局に追われ、逃げ場を探しているという。やがて、兄は車を探しに出てゆき、作家は妹をかくまう羽目になる……。政府によって映画製作を禁止されているはずのジャファル・パナヒが『これは映画ではない』に続いて発表した新作『閉ざされたカーテン』は、見る者に様々な問いを投げかける作品だ。共同監督も務めた盟友カンボジア・パルトヴィ演じる作家をめぐる物語は、パナヒその人がおもむろに画面に登場した瞬間から大きく揺れ動き、観客に刺激的な映画体験を与えてくれる。ベルリン映画祭脚本賞受賞。

※東京フィルメックスより引用

フレームの外側にある政治

鉄のカーテンがある部屋に男が入る。部屋は黒いカーテンで覆われ、日常が行われる。犬はテレビを通して残虐な目に遭う犬を目撃する。そんな家に政府から逃げて来た一組の男女が訪れる。イラン政府に軟禁されども、部屋や車を映画の舞台装置として巧みに扱うジャファル・パナヒ監督は、家という閉空間と映画におけるフレームを結び付けて政治を語ろうとしている。黒いカーテンはギー・ドゥボールやジャン=リュック・ゴダールの黒画面に近い役割を果たしており、観る者の想像力を搔き立てる。家の中という現実に対して、テレビを介した拡張された現実がある。犬が拷問される映像は、家の外ないしフレームの外に広がっている凄惨な政治的暴力を示唆しており、この多層的アプローチに痺れる。そして明確に閉空間を定義した上で、テレオマものへと発展させていき、フレームの外側に広がる政治が内部に自分事として突き付けられる様を描いていくのである。シンプルながらもここまで室内に対して掘り下げられる監督はジャファル・パナヒ以外いないだろうと思うほどに圧倒された