しあわせな選択(2025)
No Other Choice
監督:パク・チャヌク
出演:イ・ビョンホン、ソン・イェジン、パク・ヒスン、イ・ソンミンetc
評価:20点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
パク・チャヌク新作がドナルド・E・ウェストレイク「斧」を映画化したものだと聞いた時から不安であった。本書は既にポリティカルサスペンスの巨匠コスタ=ガヴラスが映画化しており、これが大傑作だったからである。予告編を観ても妙にAI映像っぽい気持ち悪い小奇麗さが嫌な予感を増幅させていたのだが、結果は案の定散々なものであった。
『しあわせな選択』あらすじ
「オールド・ボーイ」でカンヌ国際映画祭グランプリ、「別れる決心」で同映画祭監督賞を受賞した韓国の名匠パク・チャヌクが、突然の解雇で人生が一変するサラリーマンの姿を、アイロニーとブラックユーモアを交えて描いたサスペンスドラマ。パク監督が出世作「JSA」でタッグを組んだイ・ビョンホンを、21年ぶりに主演に迎えた。
製紙会社に勤めるごく普通のサラリーマンのマンスは、妻と2人の子ども、2匹の飼い犬と暮らし、すべてに満ち足りていると思っていた。しかしある時、25年勤めた会社から突然解雇されたことで事態は一変。1年以上続く就職活動は難航し、愛着ある自宅も手放さざるを得ない状況に陥ってしまう。追い詰められたマンスは成長著しい製紙会社に飛び込みで履歴書を持ち込むも、そこでも無下に断られてしまう。自分こそがその会社に最もふさわしい人材だと確信するマンスは、ある決断を下す。それは、人員に空きがないなら自分で作るしかないというものだった。
原作は、コスタ=ガブラスも映画化したドナルド・E・ウェストレイクの小説「斧」。追い詰められていくマンスをイ・ビョンホンが演じ、危機に直面するほど強さを増す妻ミリを「愛の不時着」のソン・イェジンが演じた。2025年・第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。第50回トロント国際映画祭では、新設の「国際観客賞」(北米以外の作品が対象の観客賞)を受賞した。
気弱すぎて空回り
原作を読んでいないのでコスタ=ガヴラス版と比較するのだが、大きくは変わらない。どちらも製紙会社のベテランがクビとなり、生死を賭けた転職活動をする中でライバルを殺していくのだが、妙な気弱さが宙吊りのサスペンスを生み出すといった感じである。ただ、本作は2020年代の映画ということで主人公家族の尊厳を刺激する装置としてSNSが使われている。しかし、この扱いは今となっては誰しもが考えつくような陳腐なものであり、隣の芝生は青く、それ故に実存の危機に陥る以上のものは出てこない。そして、気弱さ故に殺せるか否かの宙吊りが発生するのだが、そのアプローチは持続性がなく、単調な間を使った横滑りしたギャグに陥っている。特にコスタ=ガヴラス版で強烈であった、カフェからの追跡、服屋の更衣室での斧隠しアクションといったものは存在せず、服屋のくだりも退屈なショットに留まってしまった。やはり、パク・チャヌクは最近過大評価されている監督な気がする。










