僕の帰る場所(2017)
監督:藤元明緒
出演:カウンミャットゥ、ケインミャットゥ、アイセ、テッミャッナイン、來河侑希、黒宮ニイナ、津田寛治etc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第82回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門にて日本人監督初の審査員特別賞を受賞したのをはじめ、現在世界各国の映画祭で賞賛されている藤元明緒監督『LOST LAND ロストランド』。これを受けて過去作を鑑賞しようとしたところ、配信になくガッカリしていたのだが、ポレポレ東中野で再上映されると映画のコミュニティ内で共有された。ということで早速『僕の帰る場所』を観てきた。
『僕の帰る場所』あらすじ
日本とミャンマーを舞台に、ある在日ミャンマー人家族に起こった実話をベースに描いたドラマ。東京にある小さなアパートに暮らすケインと幼い2人の息子たち。夫のアイセが入国管理局に捕まってしまったため、ケインは1人で家庭を支えていた。日本で育ったため、母国語が話せない子どもたちに、ケインは不慣れな日本語で精いっぱいの愛情を注いでいたが、兄弟は父親に会えないストレスからケンカを繰り返す毎日。そんな日常から、今後の生活に不安を抱くようになったケインは、生まれ育ったミャンマーへ帰りたいという思いが募っていく。監督は本作が長編デビュー作となる藤元明緒。2017年・第30回東京国際映画祭「アジアの未来」部門に出品され、同部門の作品賞および国際交流基金アジアセンター特別賞の2つの賞を受賞した。
言語化できない苛立ちの決定的瞬間を捉えて
夫が入国管理局に捕まってしまい、妻ケインがひとりで2人の子どもを育てていた。しかし、限界が来てしまったためミャンマーへと帰ることになる。しかし、息子カウンはミャンマーの暮らしに不満を抱える。日本と比べて汚いし、言葉もわからない。友だちもいないし、お父さんとも会えなければ時々かかってくる電話も全然音が通じない。ケインは子どもたちを学校へ通わせようと手続きを始めるのだが、受け入れ人数に限りがあるので学校が見つかるまで家で面倒をみる必要がある。自分の中の苛立ちを言語化できないカウンは段々とケインに怒りをぶつけるようになり、ついには家出をしてしまう。
実際の話をベースとした本作は言葉や文化の壁によって困難を抱える家族関係を描いているのだが、ドキュメンタリーかと思うほどに生々しい。たとえば、カウンは希望をチラつかせながら本当のことを伝えずミャンマーへ連れてこられたことに怒りを覚えている。ビルマ語を覚える気にはならず、身体をクネクネさせながら反抗する。日本語がおぼつかないケインに対して軽蔑の姿勢をみせており、舌打ちする。対してケインはしつこく「どうして」と訊く。だが、自分のフラストレーションを言語化できない者に対してその本質を問うことは苛立ちを助長させるだけなので事態を悪化させる。本当の家族喧嘩が映っているような気まずさがあるのだが、舞台挨拶によればこれは全て演技とのこと。このような決定的瞬間は、一発撮りによって生み出されたものとなっていたのだ。本作では、一発しか撮影しない箇所がいくつかあり、俳優には「これがダメなら、この場面は捨てる」と宣言している。時には即興的に撮影した部分もあり、乾季のため人工雨で撮影する予定だった駅のシーンは、偶然降った雨の中で撮影されている。そのため、カウンが雨をしのぐ場所を探すシーンは本物の運動となっているのだ。
舞台あいさつでは先日高校を卒業したカウンが登壇した。背が高くなり、チャラくなっていた。俳優業はコネクション周りが面倒らしく、今ではyve名義で音楽活動をされているとのこと。










