『The Piano Accident』カンタン・デュピューのメタギャグはインフルエンサー風刺へ

The Piano Accident(2025)
L’Accident de piano

監督:カンタン・デュピュー
出演:アデル・エグザルコプロス、ジェローム・コマンドール、サンドリーヌ・キベルラン、カリム・ルクルーetc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カンタン・デュピュー新作が日本のMUBIに来たので観た。カンタン・デュピュー作品は演劇的メタ手法、ブニュエルへの固執によって構成されることが多く、あたりはずれが極端に分かれる。近年の演劇に偏った手法は正直苦手だったりする。最新作『The Piano Accident』は近年の兆候を引き継いだ作品である故、カンタン・デュピューの作家性から語ったほうが良さそうだ。

『The Piano Accident』あらすじ

A social media star famous for posting shocking content takes a break after a mysterious piano incident while filming one of her videos. Isolated in a chalet mountain, her retreat is interrupted by a journalist who begins to blackmail her.
訳:衝撃的なコンテンツを投稿することで知られるソーシャルメディアのスターは、動画撮影中にピアノで謎の事故に遭い、休暇を取ることに。山小屋で人里離れた彼女の隠れ家は、ジャーナリストに邪魔され、脅迫され始める。

IMDbより引用

カンタン・デュピューのメタギャグはインフルエンサー風刺へ

映画は、サイレント映画調に車が鳥と激突する場面から始まる。そして、30代のセレブであるマガリーは過激な動画でアテンションを獲得している。そんな彼女の過剰さと虚実を交えて描く。映画は歪な構成となっており、後半に入ってようやくタイトルが出てくる。映画におけるスペクタクルの過剰さとインフルエンサーの過剰さを冷笑気味に描いているのだ。

個人的には映画監督がインフルエンサーを冷笑するとき、冷笑が故に表層的な煽りになってしまっているといえる。これはMUBI関連だと『Magic Farm』のガンギマリ観光客像の薄っぺらさに通じるものがあり、あまり良い映画とは言えなかった。映画監督はもっとインフルエンサー論を詰めてほしい、映画が高尚なものだと胡座かきすぎである。実に不快だ。