ズートピア2(2025)
Zootopia2
監督:ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード
出演:ジェイソン・ベイトマン、ジニファー・グッドウィン、キー・ホイ・クァンetc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
映画祭シーズンがひと段落したので『ズートピア2』を観た。前作が多様性が実現した社会にある差別や階層を刑事バディもののクリシェに則りながら軽妙に描いた傑作であった。本作は、現在という側面から歴史の地層面にフォーカスを当てることで世界観を掘り下げる作品となっている。妥当なコンセプトであり、老若男女大衆向け映画としては十分なクオリティではあるものの、映画として、そのテーマの掘り下げに難がある一本であった。
『ズートピア2』あらすじ
動物たちが高度な文明社会を築き、人間のように暮らす世界「ズートピア」を舞台に描き、第89回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した人気ディズニー・アニメーション「ズートピア」の続編。前向きで夢をあきらめないウサギのジュディと、皮肉屋だが頼れるキツネのニックが再びバディを組み、ズートピアの謎に迫っていく姿を描く。
あらゆるタイプの動物たちが平和に暮らし、「誰でも夢をかなえられる」という理想の楽園ズートピア。ウサギで初めて警察官になるという夢をかなえたジュディは、以前にも増して熱心に任務にあたり、元詐欺師のニックも警察学校を無事卒業して警察官となった。再びバディを組むこととなった2人は、ズートピアに突如現れた指名手配犯のヘビ、ゲイリーを捜索するため、潜入捜査を行うことになる。ゲイリーは一体何者なのか。やがてジュディとニックは、ゲイリーと爬虫類たちが隠すズートピアの暗い過去にまつわる巨大な謎に迫っていき、その中で2人の絆が試されることとなる。
前作で共同監督・脚本を担当し、ディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーも務めるジャレド・ブッシュと、同じく前作から続投のバイロン・ハワードが監督を務めた。日本語版声優もジュディ役の上戸彩、ニック役の森川智之らが続投し、ゲイリー役は人気声優の下野紘が担当。ズートピア創設者一族の御曹司パウバート役で山田涼介も参加。
これっ、イスラエル側のナラティブを強めてしまっているのでは?
本作はアメリカ史を内省する内容となっている。アメリカはヨーロッパからの移民が先住民を追い立てるようにして発展してきた。本作で虐げられている爬虫類は、そういった先住民の存在を認知することによって一見多様性が実現したかのように思える社会の分断。社会を脱構築していくひとつの視点を提示している。重いテーマでありながら、ニックとジュディのドタバタアクションや『シャイニング』『A Christmas Story』『ワイルド・スピード』といったアメリカの定番映画ネタを散りばめることで観やすいつくりとなっている。
しかしながら、全体的にハードなテーマを無理に物語に落とし込もうとした結果、デウスエクスマキナに頼りっきりでアクションや行動に必然性がなく、説明台詞で進行している脚本となっており、映画としては失敗している。また、イスラエルがガザに行っている虐殺を前に、被害者面するイスラエル像が見え隠れするヘビの物語にグロテスクさを抱く。『ブルータリスト』や『イエス』のようなイスラエルサイドの視点でありながら内省的といったわけでもなく、完全に虐げられた存在として土地を取り返そうとする内容となっているので、なんだかなと思ってしまった。













