『ナースコール』これぞリアルな夜勤事件

ナースコール(2025)
Late Shift

監督:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ、Sonja Riesen、Urs Bihler、Margherita Schoch etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第98回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストが発表された。その中に選出されていたスイス代表の『Late Shift』を観たのだが、仕事柄共感するところが多く興味深く鑑賞した。

『ナースコール』あらすじ

Floria, a dedicated nurse, tirelessly serves in an understaffed hospital ward. However, today her shift becomes a tense and urgent race against the clock.
訳:献身的な看護師フロリアは、人手不足の病棟で精力的に働いています。しかし、今日の彼女のシフトは、時間との緊迫した戦いへと変わります。

IMDbより引用

これぞリアルな夜勤事件

本作は、激務の病院で働く看護師のとある夜勤を追った作品である。私は運用保守のマネージャとして『ハウス・オブ・ダイナマイト』のような職場で勤務しており、深夜帯に決断しないといけない局面や複数のイレギュラーが同時に発生しパニックになるオペレーターを落ち着かせながら的確に指示を出すみたいなことをしている。タスクこそ多いが、まとまった時間は取りやすく、比較的シングルタスクかつ、PCから動かずに作業や指示を出せるので本作を観ると、いかに生ぬるい職場であるかがよくわかる。

主人公の看護師は、常に細かいタスクを抱えながら東奔西走しており、移動の途中で患者やメンバーから話しかけられる。優先順位は高くなかったりするのだが、一定の表情でプロフェッショナルとして優先順位をコントロールし、指示や助言を行い続けていく。彼女はまったくミスをしない。ミスや自信のなさは致命的な問題を引き起こすことを知っているからだ。目の前の問題をマシンのように捌いていく。ちょっとした違和感があればダッシュで走る。それが特に問題のないものだったとしても、「問題がないこと」を確認するために手を抜かないのだ。

本作は、そんなプロフェッショナルである看護師による仕事の流儀に密着するのだが、人員不足、逼迫するリソースによってミスが起きてしまう様を非スペクタクルとして生々しく描いている。このような職場、常に決断を求められる仕事をしたことがある人にとってはゾッとする夜勤事件となっており胸が締め付けられるのだ。

確かに、今回のアカデミー賞国際長編映画賞のショートリストはあまりにも激戦区なので恐らくノミネートまではいかないとは思うのだが観て良かった。